基本的な対策を学ぶ

ホルモン補充療法

脳下垂体など特定の組織または器官から分泌され、体液と共に体内を循環し特定の組織の機能にきわめて微量で一定の変化を与える物質の総称をホルモンといいます。
最近、ホルモンの低下が老化の原因の一つとして注目を浴び、抗老化のためにホルモン補充療法がクローズアップされています。

女性ホルモン

女性の性ホルモン、主として卵巣でつくられ一部は胎盤、副腎皮質でも生成されます。 卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の二種類があります。20代をピークに少しずつ分泌量が減り始め、40代後半から50代前半くらいの閉経期に一気に減少します。20代をピークに少しずつ分泌量が減り始め、40代後半から50代前半くらいの閉経期に一気に減少します。個人差がありますが、自律神経の働きが乱れるため、のぼせ、ほてり、発汗、不眠などの「更年期障害」がおきます。
エストロゲンとプロゲステロンの分泌量が不足してきたら、これらの女性ホルモンの補充をすることで、更年期障害の症状が軽減するだけでなく高脂血症、骨粗しょう症も改善されることが知られています。

女性ホルモンが低下すると

  • エストロゲンの急激な低下
    ほてり、のぼせ、発汗、不眠、骨粗鬆症、動脈硬化症、高脂血症
  • プロゲステロン
    乳癌の発症リスク増大

男性ホルモン

男性ホルモンのテストステロンは、精巣や副腎皮質で生成されています。男性のテストステロンは、40代から50、60歳代にかけて少しずつ減っていきます。性欲が減退するほか、のぼせやほてりといった自律神経の失調が現われたり、うつ状態になったりします。これを男性の更年期障害といいます。うつ状態が続きていた人が、実は男性更年期のためと知り、症状が良くなるといった報告もあります。

男性ホルモンが低下すると

神経質になる、疲労が続く、不眠、抑うつ状態、頭痛、のぼせ、性欲減退、記憶力減退、集中力減退、動悸、脱毛

成長ホルモン

脳下垂体前葉から分泌され成長を促進するホルモンが成長ホルモンで、別名ソマトトロピンといいます。
成長期には不可欠なホルモンで、背が伸びたり、骨の成長を助けます。成人でも分泌は続きますが分泌量は減少します。20代をピークに少しずつ分泌量が減り始めます。
このホルモンは、細胞間でのアミノ酸輸送を助け、細胞のアミノ酸のとり込みや同化を促進することで代謝を促進します。筋肉を作る、臓器を作る、張りのある健康な皮膚を作る、傷を治す、免疫を強化する、記憶力を強化する、コレステロールの代謝を助けるといった働きをします。
運動不足、ストレス、睡眠不足などによっても分泌量が低下しますので、適度な運動とリフレッシュ、質の良い睡眠を確保しましょう。

成長ホルモンが欠乏すると

体脂肪の増加。骨密度の減少、免疫力の低下、怪我や傷が治りにくい、拡張期血圧の上昇、毛髪の減少、性欲の低下、運動能力の低下、筋肉重量の低下、記憶力の低下、認識力の低下、社交性の低下

DHEA

DHEA、ジヒドロエピアンドステロンは副腎皮質で作られるステロイド系のホルモン。
男性ホルモンのテストステロン、女性ホルモンのエストロゲン、プロゲステロン、副腎皮質ホルモンのコルチコステロンなど、50種類以上ものホルモンがDHEAから作られます。加齢とともにDHEAの分泌は減少していきます。

DHEAが不足すると

免疫機能の低下、癌の発症率の増加、筋肉の衰え、更年期障害、性機能の低下、痴呆、骨粗鬆症、筋力低下、肥満、糖尿病の発症

甲状腺ホルモン

気管上部に位置する甲状腺から分泌されるホルモン。さまざまな代謝に影響を与えます。
40歳を過ぎると甲状腺の機能が低下していきます。

甲状腺ホルモンが不足すると

疲労感が続く、免疫力の低下、頭痛、情緒不安定、食欲不振、筋肉の痙攣

メラトニン

松果体でつくられ分泌されるホルモン。
外界の光周期情報を体内に伝えられると考えられ、睡眠を促進する効果があります。また、強い抗酸化作用もあります。
30代から分泌量は下降曲線をたどります。

メラトニンが不足すると

睡眠障害、免疫力の低下、発癌率の増加、肥満

ホルモン補充療法とは

加齢と共に減少したホルモンを補い、不足することにより現われる症状を軽減するのがホルモン補充療法です。
ホルモン検査によって不足しているホルモンを、注射、クリームによる経皮吸収、スプレー、経口により補います。
ホルモン補充療法の副作用として、癌発症のリスクがやや上がります。したがってホルモン補充療法を受けている間は、医師の指導のもとで、ホルモンレベルを定期的にチェックするとともに、腫瘍マーカーもチェックしておくべきでしょう。