基本的な対策を学ぶ

ヘアケア

髪の老化(薄毛・脱毛)を遅らせ、髪の健康を保つ

「ヘアケア」というと、シャンプー・リンスやトリートメント・育毛剤などを 使って毛髪や頭皮の手入れを行うことと考えがちですが、 髪の老化(薄毛・脱毛)を遅らせたり、髪の健康を保つことも 「ヘアケア」と捉えるべきでしょう。

薄毛に悩む日本人

現在、日本では大勢の人が、それも多くの場合ひそかに、薄毛や抜け毛の悩みを抱えています。
薄毛というと中高年男性の悩みのように思われがちですが、20歳代、30歳代の若い世代や、女性も毛髪に関する悩みを持っています。 一方、最近になって、そのような髪の毛の悩みに対する医療としての取り組みが、かなり進んできました。薄毛・抜け毛が「脱毛症」と呼ばれ、本格的に医学的な治療の対象になってきたのです。
脱毛症は、まったく毛が欠如している場合もありますが、毛の太さや数が減少しているだけの薄毛症状も一般的に脱毛症と呼ばれます。特に男性型脱毛症など、頭髪の薄毛(ハゲ)といわれる人のほとんどは髪の毛の総本数に変化はなく、髪の毛一本一本が細くなって、産毛と同様に長くならないために地肌が透けて見えるだけなのです。当然、円形脱毛症のように、毛髪の総数が減少している場合もあります。

薄毛・脱毛症が起こる理由

脱毛症は大きく2つに分けられます。「進行する脱毛」と「一時的な脱毛」です。
「進行する脱毛」…加齢・男性型脱毛症 「一時的な脱毛」…ストレス過剰・血流障害(片寄った生活・過度のダイエット、など)・病気が背景にある(甲状腺の異常、鉄欠乏性貧血、など)・薬物の影響(抗がん剤、インターフェロン、など)・頭皮のトラブル(粃糠(ひこう)性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、など)・円形脱毛症

脱毛症の予防と治療

脱毛症予防のためにさまざまな試みがなされています。
ブラッシング・シャンプー・マッサージ・生活習慣・ストレス改善・育毛剤・薬剤による治療、など。
ここでは医療による「予防と治療」「男性型脱毛症」に焦点をあて説明します。

脱毛症とは?

脱毛症になると、主に以下のような症状が現れます
a)毛が抜ける、b)毛が生えてこない、c)毛が細く、短くなる

薄毛、抜け毛に悩む人の日常生活の注意点

以下のような生活習慣がある方は改善が必要です。
(1)睡眠時間が5時間以下
(2)いびきをかいて寝る
(3)浅い睡眠、細切れの睡眠
(4)喫煙
(5)偏食
(6)インスタント食品、スナック類の摂りすぎ
(7)ストレス

脱毛症の治療法

医学的なアプローチとしては、以下のようなものがあげられます。
a)抜け毛を止める、b)毛を生やす、c)毛を太く、長くする、d)不安と取り除く
具体的には、以下のような医学的治療法があります

  • 発毛治療
    発毛治療は、いわゆる「内科的治療」といって、皮膚にメスを入れない治療です。
    体内のホルモンやサイトカイン(生理的性物質)に作用する薬剤を経口投与したり、外用薬を塗布したりして治療するものです。
  • 植毛治療
    育毛治療、発毛治療で十分な効果が得られなかった場合や、即効性を求める方、あるいはごく一部だけに脱毛症状が見られる場合、自身の毛髪(毛根を含む)や人工毛髪を頭皮に移植する、いわば皮膚にメスを入れる「外科的治療」です。

男性型脱毛症の診断

・思春期以降の脱毛症状
・脱毛パターン(前頭部や頭頂部のどちらか一方、もしくは双方から脱毛が進行)
・毛髪の軟毛・ミニチュア化(細く短い毛髪の増加・産毛状の毛髪の増加)
・家族・親族に脱毛症を認めることが多い

代表的な治療薬

主な治療薬としては、現在以下のようなものがあげられます。

  • ミノキシジル
    発毛・育毛成分のミノキシジルは、日本でも大正製薬から1%を含有する外用発毛剤「リアップ」として発売されていますが、もとは1970年代後半に経口血圧降下剤として米国で開発され使用されていました。
    しかし、その副作用として全身の多毛症(Hypertrichosis)を頻繁に引き起こすことから、頭皮に対しての外用薬としての臨床試験が実施され、脱毛症に有効と発表されました。
    「リアップ」は、爆発的なヒットとなりましたが、効果に関しては相当効く人とそうでない人とで、ばらつきがあるようです。薬の使い方や体質によっても、大きく結果は別れるでしょう。現在、専門の医療機関では患者の症状によってミノキシジル成分の含有量を調整した外用薬を処方しています。
  • フィナステリド
    経口育毛剤「プロペシア」の成分である「フィナステリド」は、本来は良性前立腺肥大の治療および緩和に使用されている薬で、米国メルク社から「プロスカー」という商標名で発売されていました。
    その後199712月、経口フィナステリド 1 mg(商品名プロペシア)が、男性型脱毛症(AGA)の治療として米国食品医薬局(FDA)に認可を受け、世界50ヶ国以上で発売、日本国内でも200512月から発売が開始され、頭髪治療の門戸が広がりつつあります。
    フィナステリドは男性ホルモンの1種であるテストステロンが、5αリダクターゼという変換酵素の働きで、*ジヒドロテストステロン(DHT)というホルモンに変換され、このホルモン(DHT)が脱毛を引き起こすということがわかっています。これが男性型脱毛症(AGA)の原因と言われています。

    フィナステリド(商品名:プロペシア) は、5αリダクターゼの働きを抑制することにより脱毛を防ぎ、男性型脱毛症の進行を遅延させる経口育毛剤です。
    ※ ジヒドロテストステロン(DHT
    DHT
    の働きは胎児期と思春期以降で異なル働きをします。胎児期には胎児の外性器の正常な分化という重要な役割を果たしますが、思春期以降には、男性型脱毛症、ニキビ、前立腺肥大などの症状を引き起こします。

男性型脱毛症かな?と思ったら

最後に男性型脱毛症の厄介なところは、進行型の脱毛症というところです。
何も手を施さずにいると、前頭部、頭頂部の脱毛発症部位は必ず進行をしていきます。 しかし、現在では頭髪の悩みに答える専門外来もありますので、先ずは医療機関に相談をすることがよいでしょう。