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今年の夏は暑すぎて早くも体がバテてしまっている人が多いと思います。

この時期の暑気払いの食べ物というと、土用の丑の日のうなぎではないでしょうか。

うなぎは、ビタミン類やEPA、鉄分など、様々な栄養素が含まれているので、夏バテ防止や疲労回復にぴったりの食材です。

 

と、今回はうなぎの話ではなく、うなぎを食べる時にかける山椒に注目したいと思います。

山椒の痺れの特徴を生かした料理は夏にもぴったり!

ちょっと変わった料理をご紹介しましょう。

 

 

痺れ&爽快感でリフレッシュ

山椒は、ミカン科の植物なだけあって、柑橘類の爽やかな香りがします。しかし、ちょっとかじってみると痺れるような刺激があって、あまり類をみない独特なスパイスといえるでしょう。

 

 

まず、山椒が優秀なのは、食す部分がたくさんあることです。

乾燥させた果皮は、挽いてうなぎのかば焼きに使ったり、麻婆豆腐にかけたりします。また、青い実山椒ならば、塩漬けや佃煮と一緒に煮たりしますね。

 

葉もお吸い物や木の芽和えのアクセントになります。あとこれは知らなかったのですが、枝は抗菌作用があるため、食材を擦る時に使うすりこ木に適しているのだそうです。

 

山椒のピリリとする刺激の元は「サンショオール」です。胃を丈夫にして、腸の働きを整えてくれます。辛み成分であることから、血行が良くなって、発汗作用もあります。体を温めてくれる熱性の植物ではありますが、冷房の効いた部屋にいたり、熱中症予防のために水分補給したりすると、体が冷えやすくなるので、適度にバランスよく山椒を食べるのも良いかもしれません。

 

また、柑橘系の香りを放つのは、「シトロネラ―ル」という成分です。精油に含まれる成分のひとつで、その香りは虫よけの作用もあります。

 

 

「ガチ中華」で痺れる刺激の山椒料理

この数年、食のトレンドのひとつとなっている「麻辣(マーラー)」。中国山椒や唐辛子の痺れや辛さが特徴の中国料理です。「ガチ中華」なんて言葉もあるように、日本に住んでいる中国人が日本人向けに味をアレンジすることなく、現地の味そのままで提供する中国料理が人気となっています。

 

では、どんな料理があるでしょうか。

 

【汁なし担々麺】

私たちが知っている担々麺というと、ゴマだれをベースとした香りよく、痺れと辛みのあるスープ麺ですが、本来の担々麺は、その昔天秤棒で担いで売り歩いていた汁なし担々麺でした。

 

こちらは、麻婆豆腐発祥の店として知られている「陳麻婆豆腐」で2020年に期間限定(500円)で提供された担々麺です。スープがない分、しっかり山椒(四川山椒を使用)の痺れを感じられる麺で、スッキリとした味わいが印象的でした。刺激が強いので、体がシャッキとするようなインパクトがありました。

 

東京を中心に13店舗展開している「陳麻婆豆腐」は、ガッツリ痺れや辛みの麻婆豆腐をはじめ、現代スタイルの「汁なし担々麺」(990円)といった山椒を使用した料理が豊富です。

陳麻婆豆腐  https://chenmapo.jp/

 

 

【酸菜魚】

「酸菜」は青菜の漬物のことで、白身魚と一緒にスープで煮た四川料理です。山椒と唐辛子を合わせて煮込むので、スープに漬物の酸味と麻辣の刺激が移ります。これがまたスッキリとした味になって、夏に爽快感を与えてくれる一品なのです。

ガチ中華の中でも辛いとされる四川省、雲南省の料理は麻辣の刺激が強い料理が多いのですが、東京に姉妹店を多く出店している「食彩雲南」では、「白身魚、トマト、タケノコ、チンゲン菜の酸味煮込み」(1298円)として提供。見た目からもわかるように、具沢山なのです。白身魚がフワフワの仕上がっていて、スープの酸味にトマトの酸味が加わって、良いアクセントになっています。食欲がない時でも食べ進められるのではないでしょうか。

 

食彩雲南 湯島店  https://www.hotpepper.jp/strJ001291632/

 

 

【山椒と豚肉、ホタテの炒め】

炒め物のアクセントにも山椒はよく使われます。油が絡むことで、痺れのキレがいいというか、パンッと弾けるような刺激になるように感じます。

 

こちらの料理は、東京・武蔵野市にある「中國菜四川雲蓉」のコース料理のひとつです。燻製にした豚バラ肉とホタテを山椒と炒めたものですが、豚肉のうま味が痺れた口の中でもしっかり感じられて、心地よい刺激になる不思議な感覚でした。

 

同店は、料理に使う辣油や醤油などの調味料もできるものはすべて手作りし(醤油も)、ひとつの料理に1週間かけることも普通にあるというガチなお店。四川省や国内の名店で修業をされ、予約も困難です。麻婆豆腐をはじめ、季節に合わせた山椒を使った料理もあるので、山椒との新たな出会いがワクワクする店でもあります。

 

中國菜四川雲蓉  https://www.facebook.com/yunrong1102/?locale=ja_JP

 

 

最近では、山椒をはじめ、スパイスをブレンドした漢方酒を提供する店も増えていて、楽しみ方の選択枠が増えたように感じます。

 

山椒は柑橘系なので、痺れがあってもスッキリしていて、暑さもリセットできる感じなので、土用の丑の日だけでなく、色々なシーンで山椒を取り入れてみてくださいね。

 

 

伊能 すみ子

伊能 すみ子
INOU SUMIKO

食の専門家であるフードアナリスト1級。
気象番組ディレクターを経て、日本をはじめ世界各国の料理や食文化を学ぶ。
エスニック、スイーツを中心に、様々な食の情報をテレビ、雑誌、ウェブなどのメディアにて提案、執筆。
自らのアンチエイジングフードのポイントは「スパイス」。
古代エジプトより薬として活用されたスパイスをこよなく愛する。
●ブログ『恋しいアジア』~アジアンフードディレクター伊能 すみ子~更新中

●著書『マカオ行ったらこれ食べよう!: 地元っ子、旅のリピーターに聞きました。』(amazonのサイト)

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