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「もう秋なのに、この暑さいつまで続くの?」と誰もが思う今年の猛暑。
異常気象という言葉が、最近は日常的に使われるようになってしまいましたね。
昼間は猛烈な日差しが降り注いだかと思えば、夕方にはゴロゴロと不穏な雷にゲリラ豪雨。
これが毎日のように起こるから、出かける時には、できるだけ折りたたみ傘を持って出るようにしていたのに、うっかり忘れた日。一瞬にしてずぶ濡れになった私ですが、同じような経験をした方、いるのではないでしょうか。

毎日の暑さは昼間に限らず、夜も熱帯夜の日が多かったので、体へのダメージが大きくなりますね。寝ている間にもたくさん汗をかくので、朝起きるのがだるくなったり、食欲がなくなってしまったりしていませんか?
今回は、そんな体のダメージをゆっくり癒してくれるハーブのご紹介です。

***ハーブの魅力は紀元前から知られていた***
前回の「夏の活力源になるスパイスの魅力~ターメリック編~」でもご紹介したように、スパイスと同様にハーブも古代エジプトの時代に、ミイラを作る際の防腐剤としてハーブが使用されていました。また、当時から薬や化粧品としても活用されていたといいます。
紀元前400年ごろには、ヨーロッパの医学書物にもハーブが登場し、約400種類もの処方が掲載されました。そこには、「ハーブを炊いて、煙を浴びる」といった“芳香浴”なる手法も触れられていて、すでに癒しの役割を果たすハーブの効能を当時の方たちは感じていたのです。
植物のハーブは、食材の保存が今のように整っていない時代にも、素材にすり込んだり、葉で包むなどして、肉や魚の臭み消しや防腐として使われていました。また、けがをして痛んだ傷口に塗ったり、病に伏した時は煎じて飲んだりと、治療に役立てていたのです。
中世のヨーロッパでは修道院の中で、医者の役割である修道士が、ハーブを育て処方していました。自然医療の技術は、書物によってヨーロッパ大陸に広がり、19~20世紀のころには、ハーブなどの植物から精油(エッセンス)を抽出するようになりました。今でいう「アロマテラピー」という言葉もこのころ誕生したのです。

***女性の心を穏やかにするローズ***
「花の女王」といわれるローズ。観賞用としても、その美しさはみなさんご存じの通りでしょう。上品で優雅な香りを放ち、化粧品にも多く使用されています。
女性のお悩みに多い、お肌のシワやしみ、便秘などの改善。女性ホルモンのバランスを整えて、生理不順や疲労の解消にも役立ってくれます。
生花を鑑賞しても心が癒されますし、ドライローズのハーブティーを飲むことで、精神の安定にもつながります。
【ハーブティー以外で楽しむなら】
白身魚のカルパッチャにオリーブオイルと共に散らせば、華やかな一皿に。
前菜のゼリー寄せとして、野菜と共に固めれば、ビタミンC豊富な一品となります。

***秋の夜長のひと時にカモミール***
フローラルな香りで、リンゴのような甘い香りを放つカモミール。その優しい香りからは想像しにくいが、「逆境のエネルギー」という花言葉があります。
寝苦しく感じる夜に、カモミールティーを飲めば安眠に導いてくれます。「カマズレン」という成分によって、頭痛や筋肉痛なども和らげてくれることから、体へのダメージの緩和にも役立つでしょう。
また、風邪の引きはじめにカモミールを取ることもおすすめします。気温の変動などで、これからの季節は体調を崩しやすいので、日頃の予防が肝心です。
【ハーブティー以外で楽しむなら】
秋に美味しくなるリンゴとマヨネーズに合わせて、サラダ仕立てに。
乳製品とも相性がよいので、ミルクプリンにすれば、食後のデザートの楽しみに。

***空気の潤いにジュニパーベリー***
ヒノキ科の常緑針葉樹であるジュニパーベリー。松樹に似たスッキリとした香りを放つのが特徴で、苦みや甘みも感じられます。
カクテルに使われているジンの製造工程で、香りつけとしても欠かせません。ハーブティーで楽しむ時は、果実を潰して香りを楽しみましょう。
ヨーロッパでは、昔から強い殺菌作用を持つことが知られており、フランスの病院では、空気清浄の役割として、病棟でジュニパーの枝を焚いていたといいます。
また、利尿作用にも優れていて、膀胱炎を鎮めたり、尿酸の排出を手助けたりしてくれます。体のむくみも解消してくれるでしょう。
【ハーブティー以外で楽しむなら】
クセのある肉料理に最適で、レバーと一緒にパテなどに。
牛肉のワイン煮で、赤ワインを漬け込む際に数粒入れると臭みがとれます。

ハーブは、飲んだり食べたりするだけでなく、エッセンシャルオイルとして、リラクゼーションやボディケアにも有効なものです。日頃から取り入れて、活動的な秋に向けての準備をいたしましょう。

伊能 すみ子

伊能 すみ子
INOU SUMIKO

食の専門家であるフードアナリスト1級。
気象番組ディレクターを経て、日本をはじめ世界各国の料理や食文化を学ぶ。
エスニック、スイーツを中心に、様々な食の情報をテレビ、雑誌、ウェブなどのメディアにて提案、執筆。
自らのアンチエイジングフードのポイントは「スパイス」。
古代エジプトより薬として活用されたスパイスをこよなく愛する。
●ブログ『恋しいアジア』~アジアンフードディレクター伊能 すみ子~更新中

●著書『マカオ行ったらこれ食べよう!: 地元っ子、旅のリピーターに聞きました。』/div>

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