アンチエイジングニュース

【特別企画】専門家が男女の「なぜ?」に迫る Vol.7

熊本悦明(札幌医科大学 名誉教授)×二松まゆみ(恋人・夫婦仲相談所 所長)特別対談

男女の関係はいつまでいってもわからないもの。
夫婦仲、恋仲に悩む女性会員1万3千名が集まる「恋人・夫婦仲相談所」所長の二松まゆみさんを迎え、男女の「なぜ」に迫ります。

■男性ホルモンが多い男は仕事ができる?

熊本 最初に戻るけどもやっぱりアドベンチャースピリット。若い女性やきれいな方とかにチャレンジしていくのはアドベンチャーでしょう。これは何度も言っていますが、男性ホルモンの外向的生理による生き物としての基本的な生理的なものではないですか。これは一連の話ですよ。

二松 なるほど。だから英雄色を好むってことわざは昔からまさに的を得てるっていうことですね。そういえナポレオンは、とても性欲旺盛だと聞いたことがあります。

熊本 本当かどうかは知りませんが、かなり女性との挿話もあるようで倫理的問題はともかくとして、それだけかなり好奇心が強い人だったということが噂として残っているのではないですか? アメリカのケネデイ大統領も色々な話が残っておりますね。

二松 仕事もできるわけですよね。

熊本 そうです。好奇心が強いから。

二松 部下もいっぱいいて。

熊本 女性に対してもただ会うだけじゃなくて裸になってもらってセックスするっていうのは秘密を一番奥まで探れるということではないですか。だからナポレオンっていうのは相当アドベンチャースピリットが強い人だといえますね。

二松 だからガシガシと社会的にも上に登れていったっていうことですね。

熊本 男性ホルモンが強ければアドベンチャースピリットも強いからね。最近の有名な話題としてロンドンの証券取引所のの証券マンの話があります。

二松 それ知ってます。トレーダーの人差し指と血液の男性ホルモンを調べたんですよね。

熊本 そうです。男性ホルモンが多い人ほど冒険的かけが強いから儲けがいいのですよ。
しかも10年もその仕事を続けているトレーダーはかなり男性ホルモンの値も高いから、長い間儲けつづけられているのです。というのはそのくらいのアドベンチャースピリットが全く無ければ10年間ももたないわけです。しかも、その人達はかなり人差し指が短いということも知られているのです。

いろいろ議論はあるけど、少なくとも生まれる前にかなり人差し指での方向付けがあり、さらに生まれてからも男性ホルモンが多ければ、よりそういう傾向が出るとされていますね。それはいわゆるセックスや日常の生活行動活性、仕事、すべての競争に勝とうとする意識もある高いバイタリティのある人だろうし、それらのことには男性ホルモンの影響がかなりあるわけです。人差し指の短い男性は男性ホルモンも高い人が多いということを明らかにしております。

二松 なるほどね。だから男性ホルモンが多い人ほど仕事ができる外向き性格の人。

熊本 それで、いつもみんなに言うのは、適材適所ということで人差し指の短い人は会社でいえば営業や支店長にすると成績を上げるのではと。

二松 そうかそうか。逆に人差し指が長い人は内向きで周りの状況や気持ちを察する仕事―例えば人事とか総務などまとめ役がいいんですね。

熊本 そう。性格的に気が優しいんですよ。

二松 人それぞれ持ち味があってそこで発揮すればいい。

熊本 女性も人差し指が長い人ほど女性的であり、また語学力があるとされていますね。

二松 なるほど。

熊本 また逆にスポーツウーマンは人差し指が短い。これは男女問わずなんですけどね。イギリスのグラスゴ―のサッカーのナショナルチームの男性選手やコーチたちでの研究は、皆人差し指が短い。普通のアマチュアの人たちよりも短い。スポーツの成績がいい人ほど人差し指が短いという報告もあるんです。又女性のサッカー選手や長距離マラソン選手の胸の発達が比較的低いというのもそれに関連ありと思っております。

二松 逆に人差し指が長い人は、優しい感じのことで力が発揮できる…

熊本 そのように生まれる前の脳の方向付けっていうのはものすごく大事なんです。男になるのはお母さんのお腹の中にいるときに赤ちゃんは自分の睾丸から合成される男性ホルモンを出し、それで男になってくわけです。もちろんお母さんの血液中の男性ホルモンも影響しますけど。基本的には自分の睾丸から男性ホルモンを出して、女性型の外性器を左右糊付けして男の形にしていくわけです。しかも、それだけじゃなく脳も男性的に作り変えていくのです。非常に有名なのは、第二次世界大戦のときベルリンで生まれた赤ちゃんを調べると度重なる連合軍の爆撃で母親が強いストレスを受け、その影響で男らしさが低いホモの男性が生まれたという研究報告があるのです。

二松 どうしてですか?

熊本 お母さんのストレスがそのまま子どもにもストレスとしていくわけです。脳から副腎皮質刺激ホルモンとゴナトロピンが出るんですけど、これがシーソーバランスでコントロールされているので。ストレスが多いと副腎皮質刺激ホルモンが沢山合成され反対に睾丸を刺激するゴナトロピンが少なくなるので、睾丸が働かなくなるので妊娠中に男性ホルモンが十分に出ない。その為外性器までは一応男の形になるけど脳が充分に男になりきらなくなる。それでホモや性同一性男性になる。妊娠中のストレスはおなかの中の子供にもすごく影響するんです。

二松 妊娠中はお母さんにストレスをかけちゃいけないんですね。

熊本 そこで妊娠初期に働いている女性の方たちは、仕事でのストレスを受けないように自分も周りの気を付かないといかないことを知っておいて欲しいですね。赤ちゃんが女の子であれば問題ないのですが、その時点では赤ちゃんが男か女かわからないので、是非とも妊娠初期はストレスが少なく、心静かな平穏な生活をするように気を付けて欲しいものですね。

二松 確かに。私の知り合いで女性の方なんですけど、やっぱり自分は男になりたいって言っておっぱい切ってしまいました。

熊本 そういう人は、人差し指が短い人。
とにかく性格的に男らしさ女らしさっていうのはお母さんのおなかの中にいる時の男性ホルモンのシャワーの浴び方である程度方向付けができる。アドベンチャースピリット問題ですね。
最後に男としての問題で強調しておきたいのは、元気が良すぎて乱暴な男性になったりしないようにその男性ホルモンの活力を如何に健全に自己コントロールできる人間になるか、立派なジェントルマンたる人格形成をするにはどうすべきかが、この人間社会では問題になります。養育・教育。自己管理の問題がからんできますね。

二松 それはどうすれば良いのですか。

熊本 これは文化生活の密度が非常に進んできている現在の社会では非常に重要な問題なのですよ。
親のつけとか教育とか生活環境でそれが決まってくるのです。その男性ホルモンで、増強されているドーパミンで生活活性作用を動かされている扁桃体をしっかりコントロールするのは大脳の前頭前野の機能なのです。そこを如何に完全に教育で発達させるかが重要なのですよ。男性ホルモンが多ければすべての男性が乱暴になるというのは大変な誤解で、しっかり前頭前野を教育で健全に発達させると、規則を守り、しかも勇敢でアドベンチャースピリットの高い紳士となり、気配りのある力持ちとなるわけです。それが幼児期・思春期時代の教育上の問題点であるといわれるようになってきております。それを母親方は是非忘れないでおいてください。また教育者もそれを十分理解しておいてほしいですね。思春期での単なる抑制教育ではなく、規則あるしっかりした教育環境で育った男性は勇気あるアドベンチャースピリットのあるジェントルマンになることが生理学的に明らかにされているのですよ。イギリスのオックスホードやケンブリッジ大学で思春期男子を寮に入れしっかりと教育・生活管理してから運動と学問を教えるというのが高く評価されているのはそこにあるのですよ。最近は自由放任主義がはやってきているので、問題児が増えていると言われていますので、考え直してほしいですね。

次回は「なぜ男性は若い女性が好きなのか」その秘密に迫ります。

 

>>>『Dr.熊本×二松まゆみの男女の「なぜ?」に迫る』バックナンバーはこちら

 

熊本 悦明(くまもと・よしあき)
日本 Men’s Health 医学会理事長、札幌医科大学名誉教授

東京大学医学部卒業。東京大学講師(泌尿器科学講座)を務めたのち、札幌医科大学医学部泌尿器科学講座主任教授。男性医学・泌尿器科外科学・尿路性器感染症学を中心に研究を進め、日本 Men’s Health 医学会及び日本性感染症学会を創立している。
その後、(財)性の健康医学財団会頭を経て、現在、札幌医科大学名誉教授、(財)性の健康医学財団名誉会頭、NPO法人アンチエイジングネットワーク副理事長、日本抗加齢医学会顧問、日本思春期学会顧問、日本性機能学会名誉会員など

【受賞】
保健文化賞、志賀潔・秦佐八郎賞
日本泌尿器科学会:坂口賞・鈴木賞

HP:日本臨床男性医学研究所


二松 まゆみ(ふたまつ・まゆみ)

元主婦マーケティング会社経営。夫婦仲、恋仲に悩む女性会員1万3千名を集め、恋人・夫婦仲相談所 運営。所長を務める。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察。恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。著作、講演、メディア取材多数。NHK離婚特集番組、セックスレス問題を考える番組等に出演。

【著書】
『ニッポン男子の下半身が危機的なことに気付づいたワタシ』(扶桑社新書)
『夫とは、したくない。』(ブックマン社)他多数。
新刊『40歳からの女性ホルモンを操る53の習慣』(扶桑社)

HP:恋人・夫婦仲相談所
ブログ:『すずねドキドキブログ』

 

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