アンチエイジングニュース

以前、見た目ではその影響が分かりづらいUV-Aについての記事を掲載しましたが、夏本番を迎えた今、より一層紫外線の影響も気になるところ。
そこで今回は「日焼け」などお肌に炎症を引き起こしやすいUV-Bについて調べてみました。

》UV-Bとは
まずは前回のUV-Aについておさらいしましょう。これはB波とは違い、「日焼け」という形での炎症を起こす作用は低いながらも、真皮層にまで届くため、真皮内の膠原繊維(コラーゲン)や弾力線維にダメージを与えてしまい、結果としてシワやたるみの原因になってしまう、とのことでした。

ではUV-Bにはどのような特徴があるのでしょうか?

◎シミの原因
先にも書いたように、UV-Bはお肌をヒリヒリ赤く(サンバーンを起こす)させます。表皮にB波が届くと、メラニン刺激ホルモンが表皮細胞から出されてメラノサイト(色素細胞)を刺激します。メラノサイトは紫外線の害から細胞の核が傷つかないようにするため、刺激物質の指令を受けてメラニンを作り出します。
このメラニンが詰まった袋を表皮細胞に渡すのですが、この時大量に渡されてとどまってしまったり、メラニンが大量に作り続けられたりすると、いわゆる「シミ」として現れるのです。
このメラニンを渡された表皮細胞がすこしずつ上に移動して角質となって、やがて剥がれていくことを「ターンオーバー」といいます。
なので、このターンオーバーがスムーズにおこなわれていればシミにはなりません。シミができるのは紫外線などでメラニンが過剰に作られるか、メラニンの受け渡しのところに問題があるか、排出に問題があるかのどれかです。

◎シワの原因
ある研究ではUV-Bの照射によってマウスのしわが深くかつ多くなり、膠原線維(コラーゲン)の変化やソーラー・エラストーシスといわれる弾性線維の変性が引き起こされるという報告がされています。

◎DNAの損傷
UV-BはDNAに多数の傷をつけてしまいます。その威力は、夏の晴れた日の正午頃に1時間も太陽光を浴びると、UV-Bによって基底層の細胞の遺伝子には細胞1個当たり数万個のキズが生じるとされているほど。ほとんどの場合、傷は修正されますが、間違った修復が起こった時、結果として腫瘍が発生することもありえるのです。
統計データでも年間でUV-B量が多い地域では皮膚がんの罹患率が多いという報告もあります。
またUV-Bは皮膚で活性酸素をつくるので、DNA、脂質、糖質、タンパク質が酸化されて変性し、表皮の機能低下や真皮の構造変化に結びつくとのこと。

◎しかし適度な日光浴は必要!
ただ日光浴びることはビタミンDを産生するという重要な側面もあります。適度な日光浴は1日10分程度とされているようですので、少しの間外出する程度で十分です。過剰に反応する必要はありません。

》UV-Bの対処方法
では、上記で説明したUV-Bを防ぐにはどのようにすればよいのでしょうか?日傘をさしたり、直接日光が当たらないようにしたりするなどの工夫も必要でしょうかが、一番スタンダードなのは日焼け止めの使用ではないでしょうか。
人の皮膚で日焼け止めを使用した実験があるのでご紹介します。
SPF15の日焼け止めを塗った部位と何も塗らなかった部位で、UV-AとUV-Bを4日間連続して照射した場合、日焼け止めを塗った部位では何も塗らなかった時と比較してサンバーン細胞(日焼けにより変化した表皮細胞)、炎症の増加を防ぐことができたとのこと。さらに日焼け止めの外用によって、皮膚がんの発症が減少した報告もあります。
シミやシワなど外見の問題だけではなく、日焼け止めを塗ることで皮膚がんの予防にもなります。やはり日焼け止めはまめに塗っておくことが必要そうです。

》SPF値とは
さてこの有害なUV-Bを防御するために重要なのが、SPF値。これはSun Protection Factorの略で、紫外線防御指数のことでUV-Bをカットする力を示しています。
これはUV-Bを照射したときに何も付けていない素肌と比べて日焼け止めを塗っておくと日焼けが始まるまでの時間を何倍に伸ばすことが出来るかという目安です。SPF15が日常生活に適している防御レベルで、スポーツなどをする場合は、それ以上の30~50くらいのレベルが必要とされています。
何もしない状態で赤い斑点などの皮膚の日焼け症状が出るまで20分程度かかる方の場合、
日常使いにオススメなSPF15では【20分×15=300分=5時間】ということで、何も塗らない状態に比べて5時間までは日焼けを避けることができるということです。

しかしこの防御指数は付ける量などでも変化するので、定められた量をきっちり守って、汗などで取れてしまった部分はマメに塗り直すことが大事。
また日焼け止めだけで心配な場合は、SPFの入った化粧下地やファンデーションを重ねることでSPF値を上げることもできるので、重ね付けするなどの工夫をしてみましょう。

取材協力:川島眞先生(日本コスメティック協会 専務理事/東京女子医科大学 皮膚科 主任教授)

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