アンチエイジングニュース

2011年11月14日(月)有楽町朝日ホールで特定非営利活動法人 アンチエイジングネットワーク主催の「アンチエイジングセミナー2011 癒しのアンチエイジング ~ライフスタイルをプラスに変える~」が開催され、約690人の参加者が集まった。

挨拶『癒しのアンチエイジング ~ライフスタイルをプラスに変える~
塩谷信幸氏 (特定非営利活動法人 アンチエイジングネットワーク理事長)

最初に、特定非営利活動法人 アンチエイジングネットワーク
理事長の塩谷信幸からの挨拶でセミナーを開始した。
アンチエイジングネットワークは、昨年から11月14日の「アンチエイジングの日」にこのセミナーを実施しており、今回はライフスタイルに取り込めるアンチエイジングというテーマで開催した。塩谷は、今年アンチエイジングネットワークのメルマガ会員向けに実施した意識調査結果と、今回のセミナー申し込み者へのアンケート結果を次のように報告した。

●意識調査結果
(1)三分の一が中身よりも見た目の方が大事
   回答した。
(2)加齢が気になる点は上から順に、肌、髪、腹
(3)何才まで生きたいかの問いで
   最も多かったのが80代
(4)何歳まで働きたいかの問いで最も多かったのが
   60代で、ついで生涯現役だった。
(5)かかりたくない病気ベスト3は
   がん、認知症、脳卒中
(6)年齢を重ねることはプラスと感じるかとの問いに
   対し「やや思う」と回答した人が多かった。

●セミナー申し込み者へのアンケート結果
(1)食事、スキンケア、運動、睡眠を日常で取り組みたい
(2)「ヒートショックプロテイン」という言葉を今回初めて知った人は67%

ヒートショックプロテインとアンチエイジング
鳥越俊彦氏 (札幌医科大学大学院准教授)

次いで登壇した鳥越俊彦准教授は、『ヒートショックプロテインとアンチエイジング』と題した講演を行い、「どうやったら長生きできるのか」「若々しい肌の秘訣」の2つについて説明した。

●どうやったら長生きできるのか
双子のサルのうち一方をカロリー30%オフで育てたところ、カロリー制限をしたサルの方が、見た目が若々しく長生きしたという研究を取り挙げ、カロリー摂取を50%~60%
制限
すると外見が若く寿命が延びることを紹介した。
さらに、過労不眠、糖尿病、喫煙、過激な運動、紫外線、大気汚染等は老化を促進するため、(1)良質な睡眠を確保する、(2)ストレスを避けて上手に発散する、(3)過激な運動は避けおだやかなエクササイズをする、そして、(4)活性酸素を減らすことが大切と
述べ、活性酸素を減らすためにはビタミン、カロテノイド、ポリフェノールなどの抗酸化物質を食品やサプリメントから摂るのが有効と説明した。

●若々しい肌の秘訣
私たちの身体を構成する細胞の大部分がたんぱく質でできている。たんぱく質はアミノ酸が鎖のように繋がっている状態で、熱や酸・アルカリ、紫外線、活性酸素などにより刺激を加えると形が崩れる(変性する)性質があるとのこと。エイジングは、変性タンパク質が時間経過とともに少しずつ細胞や組織に蓄積していって、細胞の機能を失ったり、死滅してしまう状態であり、アルツハイマーの人の脳を調べると、脳内にアミロイドタンパクが沈着しているという。
しかし細胞に温熱刺激を与えると「ヒートショックプロテイン(HSP)」というタンパク質が作られて、(1)DNA障害をブロックして修復、(2)細胞生存能力の増強、(3)細胞機能を活性化、(4)抗酸化作用、(5)タンパク質の修復再生をすると説明し、その一例として免疫機能の働きをするT細胞を39度に温めると、44%のがん細胞をやっつけた鳥越准教授の研究を紹介した。さらに風邪等をひいたときに熱が出るが、それはHSPによる免疫機能を高めるためなので、熱が出たからといってすぐに解熱剤で下げるのはよくない場合があると述べた。

また、鳥越准教授の研究室で、長い毛がほとんどないヘアレスマウスを使い、温熱刺激を受けたマウスの肌と温熱刺激を与えていないマウスの肌を比較したところ、温熱刺激を
受けた方の肌が若々しかった例を紹介し、HSPは肌の若々しさにも関係することを示した結果を発表した。このことから、温めるスチーム美顔器は美肌効果があるが、フェイスタオルを濡らしてラップで包み電子レンジで30秒あたためてから、顔に1分間載せることでも
充分と、私たちがすぐに実践できる方法を紹介した。
次に、HSPによるタンパク質の修復分解能力は、女性の場合閉経を境に低下することから、性ホルモンの分泌も重要と説明し、性ホルモンを高めるためには恋をするのが
有効
で、恋をしているお年寄りは長生きしている人が多いことを挙げた。実際に誰かと恋をしなくても、妄想でもホルモンレベルは高まるそうだ。

最後に、HSPは「41度の温浴、蒸しタオル、適度な運動、いつも異性を意識することでアップする。アンチエイジング最大の秘訣は、心の持ち方」と講演を締めくくった。これまでHSPを知らなかった参加者が多かったが鳥越准教授が図を使いながら、仕組みと具体的な実践方法を説明して頂いたため、かなり勉強になったとの声が多く聞かれた。

女性の食事とアンチエイジング
エリカ・アンギャル氏 (栄養コンサルタント)

司会の南美希子氏とともに、ミス・ユニバース・ジャパンの栄養コンサルタントとして知られている、エリカ・アンギャル氏が登場し、南氏と対談形式で栄養について語った。

●美しくなるためには食べてはいけないのか?
エリカ氏は、最近はダイエットのために食事を抜いたり、甘い物を食事代わりに摂っている女性がいるがそれは間違った方法で、伝統的な日本食はカロリー制限ができる調理法で、特に
沖縄料理はたっぷり摂ってもカロリーを抑えられる。カロリーの摂り過ぎはよくないが、きちんと栄養を摂らないと健康に影響する。「旅館の朝食は、栄養のバランスが素晴らしい。食パンだけ、菓子パンだけの朝食では栄養不足になる」と述べた。

食パンなどの白く精製された炭水化物、甘い物を食べると血糖値が急上昇しやすく、
血糖値を下げるためにインスリンが分泌される。インスリンは血中の糖を優先してエネルギーに変えるため、体脂肪は使われずに蓄えられてしまう。さらに怒りっぽくなったり、だるくなる、イライラしてくるため、イライラを抑えるエンドルフィンというホルモンを分泌するのに必要な甘い物が食べたくなるという負のスパイラルが生じ、肥満や老化につながってしまうとのことだ。

●脂抜きダイエットは間違い
魚には肌の弾力に関わるEPAや、DHAという良い脂肪酸がある。サーモン、イワシ、サバ、ブリなどの魚を週3~4回食べるのがお勧め。オリーブオイルは、お腹周りに肉を付けにくくする、沢山食べるとシワができにくいなどの嬉しい効果があり、脂抜きダイエットは間違っている。オメガ3やオメガ9の良い脂肪酸は摂るべきと説明した。

●要注意の脂肪酸
その一方でトランス脂肪酸は、動脈硬化の原因になる、悪玉コレステロールを増やす、
不妊症、子宮内膜症などの婦人科疾患のリスクが上がるなどの問題になっている脂肪酸で、マーガリンやショートニング、加工植物油脂に含まれていることがあるため、商品を買うときはよくパッケージをチェックすべきと注意を喚起した。さらに、マーガリンはべに花といったよい脂肪酸を原料に使っていても化学的プロセスを経て製造されているので使わない方がよいとのことだ。
また、霜降り肉を食べるよりも赤身肉が良く、特に草で育てられた方が良いとも述べた。

●レインボーカラー
野菜をよく摂っているといっても、プチトマト・薄い色のレタス・キャベツだけだと必要な栄養素が摂りきれない。人参や小松菜、ホウレンソウなど色の濃い野菜も食べるようにして、
レインボーカラーが揃うよう工夫すると違うフィトケミカルが摂れるため良いそうだ。さらに、果物は太るイメージを持っている人がいるが、抗酸化物質やビタミン、ミネラル、フィトケミカルが入っているので摂るべきで、白人はよくカバンの中にプラムやプルーン、リンゴを入れていて、間食代わりに食べていることを紹介した。

●美女の血液型から
エリカ氏は10月28日に『美女の血液型別お弁当BOOK』という本を出したことを紹介。
その本に書いた一部を説明した。

O型…一番古い狩猟民族。動物性タンパク質を分解できる胃酸を持つ。海藻や野菜もたっぷり摂るべきだが、小麦や乳製品は減らした方が良い。アドレナリンが出やすいためストレスを感じやすく、活発な有酸素運動がストレスを解消する。

A型…農耕民族。穀類分解酵素を持ち、伝統的な日本食が合う。魚を分解する胃酸が少ない。野菜をたっぷりと摂るとよい。乳製品と肉は減らした方がよい。コルチゾールというストレスホルモンがO型の2倍分泌されるため、ストレス解消が大事。ヨガ、深呼吸でリラクゼーションを。

B型…ヒマラヤやパキスタンの遊牧民族。乳製品を分解できるため、発酵したヨーグルトなどが良い。鳥肉やコーンを食べると太りやすい。魚や動物性タンパク質を分解できる。コルチゾールが出やすいが、ストレスコントロールができる。テニス、ゴルフなど頭を使うチャレンジが向く。

AB型…AとBが混ざっている。ストレス反応O型に似てアドレナリンが出やすい。

最後にエリカ氏が「アンチエイジングな食事」のためのお勧め方法を紹介した。
自分の食べ物日記を書く
ダイエットよりもライフスタイルを重視。
 80%頑張り、20%はご褒美を。

ナッツ、ドライフルーツ、いちじく、プルーン、クルミなどを
 持ち歩き、食事と食事の間につまむようにする

医療ジャーナリストでもある南氏によるインタビューに答える形で、エリカ氏が流暢な日本語で栄養について説明し、会場は大きな拍手に包まれた。血液型についての詳細は、エリカ氏の著書でご確認を。

アンチエイジング大賞発表

アンチエイジングネットワークのメルマガ会員にアンケートを行い、選出されたアンチエイジング大賞受賞者を司会の南氏が発表した。

アンチエイジング大賞


男性の部… 郷ひろみ さん
女性の部… 吉永小百合 さん

受賞者のご経歴、コメントはこちら

閉会の挨拶

最後に、塩谷信幸が、「目から鱗のことがあった。ライフスタイルに取り入れていただきたい」と挨拶をしてセミナーは終了した。

 

  • facebook Share
  • Tweet
  • LINE

この記事が気に入ったら「いいね!」しよう
最新記事をお届けします

カテゴリ一覧