公益財団法人コーセーコスメトロジー研究財団、「皮膚の健康科学セミナー」を開催 皮膚バリアの重要性を3名の専門家が最新知見を交えて紹介
株式会社コーセーが社会貢献の取り組みのひとつとして支援している公益財団法人コーセーコスメトロジー研究財団は、2023年7月31に研究報告会「皮膚の健康科学セミナー」をパレスホテル東京にて開催しました。同セミナーは2023年8月7日~25日にかけて一般向けにオンデマンド配信されます。
講演した 天谷(あまがい)雅行 氏(左)、 椛島(かばしま)健治 氏(中)、月田 早智子 氏(右)
「皮膚の健康科学セミナー」開催の背景
コーセーコスメトロジー研究財団は、多様かつ広範な学際領域に跨るコスメトロジー(化粧品学)に関する研究へ助成を行うことにより、広く生活者の保健衛生の向上を図り、美しく豊かな人間生活の実現に寄与することを目的として、1990年に株式会社コーセーの創業者である小林孝三郎により設立されました。以来30年以上にわたり、化粧品に関連する幅広い学術分野の優れた研究に対して助成を行っています。
今回、助成により得られた研究成果の一部を「正しい知識を伝える」という側面から社会還元すべく、「皮膚の健康科学セミナー」を開催しました。より多くの人に知見を届けられるよう、後日オンデマンド配信も行います。当セミナーでは、皮膚科学の分野で日本を代表して活躍している3名の研究者から、当財団の助成を受けて進められた最先端の皮膚科学研究の成果を紹介しました。テーマである「皮膚バリア」は、皮膚の内側からの水分蒸散を防いだり、外側からのアレルゲンなどの異物の侵入を防ぐ肌の機能であり、肌を健やかに美しく保つことや、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患にとっても非常に重要な要素となります。
「皮膚の健康科学セミナー」 オンデマンド配信について
配信時期 : 2023年8月7日(月)~25日(金)
申込方法 : 下記の特設サイトから事前登録をお願いします (先着500名限定、参加無料)
特設サイト: https://www.kose-cosmetology.or.jp/seminar/
理事長挨拶
小林 一俊 理事長
本日は、「皮膚の健康科学セミナー」にご参加いただき心より御礼を申し上げます。当財団は、コスメトロジー研究への助成事業を通して、化粧品を支える科学の確立に向けて、30年以上にわたり活動を進めてまいりました。今や化粧品は、老化予防や美容、健康促進のために、最新の研究成果に裏付けされた、科学的なバックボーンがあってはじめて、消費者に信頼され、期待されるものになったと言えます。
本日のセミナーでは、皮膚科学の分野で日本を代表する3名の先生方から、皮膚バリアをテーマに、当財団の研究助成を受けて進められた最先端の研究成果をご紹介いただきます。本知見が視聴されるみなさまのお役に立ちましたら幸いです。
「皮膚の健康科学セミナー」開催の背景
「皮膚バリア」をテーマに、当財団が研究助成する3名の研究者から最新の研究成果を紹介しました。
講演① 角層のしくみを解き明かす (45分)
慶應義塾大学医学部皮膚科学教授 天谷(あまがい) 雅行 氏
美しく健康的に見えることで人は幸福を感じ、より充実した時間を持てることになり、そこで化粧品が果たす役割は計り知れないものがあります。化粧品は皮膚の最外層である角層に塗布するものですが、その角層が健やかな状態、恒常性を維持するしくみは未解明な部分が多く残っています。我々は、この角層の恒常性維持のしくみを、細胞生物学、超微形態学、皮膚科学、免疫学の観点から、イメージ技術やオミックス解析など最新の技術を用いて、その全貌を明らかにしようとしています。本講演では、皮膚がバリアとして働くしくみについて、またアトピー性皮膚炎の予防につながる健康な角層環境の誘導法について、最先端の技術を駆使して得られた成果を紹介します。
講演② アトピー性皮膚炎の発生機序の時空間的理解とアレルギー克服を目指した研究 (45分)
京都大学大学院医学研究科皮膚科学教授 椛島(かばしま) 健治 氏
近年、幼少期のアトピー性皮膚炎の発症を契機として、食物アレルギー、喘息、アレルギー性鼻炎などアレルギー疾患が同一個人において連続的に進展するアレルギーマーチの存在が明らかになってきました。これは、皮膚を介したアレルゲンへの感作が他のアレルギー疾患発症の根幹にあり、幼少期からしっかりアトピー性皮膚炎をコントロールすることが大切であることを示唆しています。最近はアトピー性皮膚炎の治療に、新たな生物学的製剤や内服薬が開発され、またステロイド特有の副作用が生じにくい外用剤の開発も進んでいます。これら薬剤開発の背後には、最近の研究でアトピー性皮膚炎の病態について分子レベルでの理解が進んだことが挙げられます。本セミナーでは、アトピー性皮膚炎の病態と最新の治療のトピックスについて、私たちの研究室の研究成果を織り交ぜながらご紹介します。
講演③ 「上皮バリア学」と「皮膚の健康と美」 (45分)
帝京大学先端総合研究機構教授 月田 早智子 氏
私たちの肌や臓器などの表面に存在する上皮細胞がもつ第一のミッションは、細胞が互いに強く接着してシートを形成し、それぞれが機能をもった区画として体内恒常性を保つことです。私たちの研究室では、上皮細胞間バリアであるタイトジャンクションの細胞間接着分子であるクローディンに注目し、細胞レベルおよび個体レベルでの機能解析を中心に上皮バリア研究を進めてきました。皮膚は生体と外界との境を全面的に担うことに特化した上皮バリアであり、健全な皮膚バリア機能の維持は、全身の健康のためにも重要といえます。私たちは、これまでの研究を基盤に皮膚に特化した「皮膚上皮バリア学」を確立し、皮膚疾患の病態解明とその治療・予防法開拓に発展させ、「皮膚の健康と美」に結びつけることを目指しています。
公益財団法人コーセーコスメトロジー研究財団について
これまでの研究助成の概要や研究報告については下記のWebサイトにて公開しています。
公益財団法人コーセーコスメトロジー研究財団Webサイト : https://www.kose-cosmetology.or.jp
情報提供:株式会社コーセー
この記事が気に入ったら「いいね!」しよう
最新記事をお届けします