アンチエイジングニュース

a%c2%82%c2%a2a%c2%83%c2%b3a%c2%83%c2%81a%c2%82%c2%a8a%c2%82%c2%a4a%c2%82%c2%b8a%c2%83%c2%b3a%c2%82a%c2%82a%c2%83%c2%9fa%c2%83%c2%8aa%c2%83%c2%bc201601

2016年11月11日、東京国際フォーラムにて「アンチエイジングセミナー2016 皮膚科医がこっそり教えるスキンケアの常識、非常識」を特定非営利活動法人アンチエイジングネットワークが開催した。今回は、皮膚科専門医がスキンケアの方法を教えるというテーマで、163名の方が参加した。

 

講師として川島眞先生(東京女子医科大学 皮膚科学教室 教授・講座主任)、田中志保先生(東京女子医科大学附属女性生涯健康センター 皮膚科医)をお迎えし、アンチエイジングネットワーク理事長の塩谷信幸による挨拶で開始した。

 

塩谷信幸氏
挨拶 『見た目のアンチエイジング~美しく年を重ねる』

dsc_0107

アンチエイジングネットワーク理事長の塩谷信幸先生は、セミナーの開催にあたって次の挨拶をした。

最近、「アンチエイジング」という言葉に嫌悪感を持っているという話を聞く。これは見た目の美しさだけを良くしようとして、「若さ=美」という捉え方になっているのではないか。しわ伸ばしの手術というのは実は100年前から存在しているが、化粧でカバーできる部分は手術をしなくてもいいと考えている。

肌の若返りのことを話していると、他の診療科の医師から「板金塗装みたいだ。」と揶揄されることがある。しかし、自動車は板金塗装してもエンジンがよくなるわけではないし、いくらチューンナップしても見た目がよくなるわけではない。ところが人間の場合、内臓が若返れば肌も若返り、肌が若返ればメンタルの部分も含めて体全体が若返るという相互作用がある。

今年の1月にマンハッタンで元気な年配の女性を撮影した写真の展覧会が、日本で開催された。非常に生き生きとしていて、こちらも元気が出てくるような写真だった。その写真を見ているとファッションや髪型などで輝きを支えていると感じた。もちろん、医師として肌の大切さも感じる部分があった。

今回は、講師のお二人を迎えて化粧品のことやスキンケアについてお話しいただく。

 

川島眞先生
『化粧品とスキンケアのウソ、ホント』

dsc_0122皮膚科医をやっていると、シミについて相談をよく受ける。シミにもさまざまな種類があり、それを見分けられる人にきちんと治療をしてもらった方がいいだろう。私の場合でも、年に1人か2人、他の施設でレーザーを用いてシミを除去したあと、よくよく診察してみると悪性黒色腫、いわゆる皮膚がんだったという人がいる。

 

また、敏感肌という言葉がよく出てくるが、我々の定義では皮膚のバリア機能が低下して、保湿作用が失われ、乾燥している状態のことをいう。具体的にどういう状態かというと、アトピー性皮膚炎は敏感肌といっていいだろう。

 

 

コスメティック検定

川島先生が専務理事を務めているコスメティック検定について触れる場面があり、アレルギーテストに関する問題を一例として取り上げた。

 

「アレルギーテスト済み」の意味として正しいものを選びなさい。

 

a)何らかのアレルギー試験を実施したもの

b)アレルゲンを一切含んでいないもの

c)アレルギーは起こさないという保証

 

正解は、a)。

「何らかのアレルギー試験を実施した」ということなので、100%安心とは言い切れないということだった。

 

》コスメティック検定についてはこちら

 

アトピーやニキビの人は化粧をしない方がいいのか?

病院で治療が必要な疾患肌の人は、皮膚科医から「化粧はやめた方がいいでしょう。」と言われることがよくある。しかし、女性ならば化粧しないという選択肢はなかなか選ぶことが出来ない。本当に化粧はやめた方がいいのだろうか。

病院で皮膚疾患のある人に適切な化粧指導をして、1か月後の状態とQOL(生活の質)を確認してみた。まず化粧指導をしたところ、ニキビ肌が目立たなくなり、本人も笑顔が多くなった。そして1ヶ月後に肌の症状も改善した。これは化粧がうまくいったことで、ニキビ部分を触らなくなったというのが大きな理由だと考えている。また精神状態もよくなり、QOLも改善していた。

 

化粧水は、パッティングで浸透させる?

化粧水は水溶性で、クリームや美容液のような油溶性のものに比べると、もともと皮膚吸収は低い。化粧水の主たる目的は角質の水分量を増やすことなので、パッティングをしなくても十分入る。むしろ肌をたたく行為は炎症を誘発するので、やめておいた方がいいだろう。

 

SPFやPAについて

SPFはUV-Bという紫外線を予防する効果を示し、PAはUV-Aを予防する効果を示す。SPFの試験は、1平方センチメートルに2mg塗っている。これは見た目が白くなるくらいの厚塗りで試験をしているということである。一般的に、この量の半分程度の使用量であるため、実際にはもっと効果が弱くなっている。メーカーが製品に書いている効果を示す使用量と、実際に使用者が塗っている量では乖離がある。日本香粧品学会としては、実使用方法でSPF15以上、PA1+以上を推奨している。

 

シワを改善するという効能効果が認められた

最近のトピックとして、長年メーカーと取り組んできた「シワを改善する」という効能効果が厚生労働省に認めてもらえた。近いうちに、「シワを改善する」という製品が出てくるだろう。

 

田中志保先生
『太陽光線は恵みか、害か』

太陽光線は、我々地球上の生物に大きく影響をしている。太陽光線は、紫外線、可視光線、赤外線の3つに分けられ、この中でも紫外線が最も光老化に影響を与えている。しかし、この他にも、紫外線と可視光線の間にあるブルーライトや、可視光線と赤外線の間にある近赤外線も光老化に関係することがわかってきている。

 

光老化によるシミの治療方法

dsc_0135光老化というのは、年齢を重ねて生じる自然な老化とは異なる。太陽光線を長期間、無防備に浴び続けると肌の光老化が起こる。

光老化症状の症状としては、シミ、シワ、たるみが代表的ではあるが、表皮が菲薄化し、真皮の膠原線維、弾性線維が変性することで皮膚表面のキメやハリ、ツヤも失われる。

光老化の各症状の治療法の具体例について、まずシミ治療から。

最も効果が高い治療法はQスイッチレーザーである。30代女性の症例を挙げるが、顔にできた大きなシミが消えているのがわかる。同じシミの治療として用いられるものにIntense Pulsed Light(IPL・光)治療がある。いわゆるフォトフェイシャルであるが、正確にはフォトフェイシャルというのは商標である。レーザーが部分的なシミ治療だったのに対し、光治療は顔全体におこなっていく治療であり、シミ除去だけでなく、肌がきめ細かくなるという作用もある。レーザーは1回の治療でシミを除去できることが多いが、光治療は複数回行い、段階的に改善させる。回数を増やすと濃いシミでも除去できることが多い。

 

光老化によるシワ・たるみ治療方法

シワ・たるみはUV-Aと近赤外線を浴びるとできやすいといわれている。シワは2種類に大別して整理すると治療法が考えやすい。表情筋の収縮によりできる表情ジワにはボツリヌストキシンA製剤の注射、免許証の撮影など真顔の時に存在する静止ジワにはヒアルロン酸製剤の注射を行う。また、シワ局所の改善ではなく、顔全体のたるみを改善させるためには機器を用いた治療も行っている。これは近赤外線や高周波を用いて、真皮深層まで熱影響を与え、修復過程でコラーゲンを増生する仕組みである。

 

近赤外線の治療効果

大学で近赤外線を用いた研究を行い学会発表を行ったデータを供覧する。3回の治療で約半年間は客観的・主観的効果ともに持続されたという結果が出ている。フェイスリフトのような手術を行わなくてもこれだけの治療効果があることがわかった。

太陽光線の功罪

太陽光線の話に戻ると、紫外線は皮膚がんを誘発する因子である。日本でも1万5千人から2万人が毎年罹患している。皮膚がんにかかりやすい部位というのは、外部に露出しやすい顔、腕、足がほとんどである。予防法としては先ほど川島先生も講演内容で触れたサンスクリーンによる日焼け止め対策である。毎日の太陽光線からの防御が、シミ・シワだけではなくて皮膚がんの予防にもつながっている。

 

今まで紫外線の研究は進んでいたが、ここ10年ほどは近赤外線の研究も増えてきている。近赤外線は面白い存在で、先ほどのたるみ治療でも使われるが、皮膚の深部まで影響が及ぶため、やはり気を付けなければいけない側面がある。近赤外線研究会というのも立ち上がっており、近赤外線照射装置を使用して、その結果のデータを報告しあっている。マウスへ5日間近赤外線を照射したデータもあり、この場合、徐々に皮膚が固くなり、割れてくるという現象が起きた。

 

近赤外線は、治療に使える部分もあるが、波長特性や照射条件に依存するため、光老化を防止するという意味では、日常の近赤外線カットが望ましいと考えている。

 

》近赤外線研究会

 

巡活マッサージ(川島 眞先生)

a%c2%b7ae巡活マッサージというのはあまり聞きなれていないかもしれない。リンパマッサージはみなさんよくご存じでしょう。カッサやリンパドレナージュを受けた後、肌が赤くなっているのはしっかりとリンパが流れた効果の表れであるというのは間違いである。はじめの講演でもお話ししたが、肌が赤くなるのは皮膚への摩擦や圧迫刺激によるものである。力を入れて肌に刺激を与えるのは皮膚科医としてあまりお勧めできない。

リンパマッサージというのがあるが、静脈はリンパの10倍くらい水分の流れが多い。むくみの解消をするには、静脈をマッサージすることが大事ではないかと考えた。この静脈をマッサージすることを、巡活マッサージと名付けた。皮膚への過剰な刺激を行わず、不要な水分、老廃物を排出することにより、イキイキとした肌に導き、むくみも解消する。

 

顔へのマッサージ方法は、動画を用意したので、ご覧になって参考にしてほしい。

 

》巡活マッサージの動画はこちらからご参照いただけます

》近赤外線研究会

アンチエイジング大賞

a%c2%82%c2%a2a%c2%83%c2%b3a%c2%83%c2%81a%c2%82%c2%a8a%c2%82%c2%a4a%c2%82%c2%b8a%c2%83%c2%b3a%c2%82a%c2%82a%c2%83%c2%9fa%c2%83%c2%8aa%c2%83%c2%bc201611セミナー後には毎年恒例のアンチエイジング大賞の発表がおこなわれた。

今年で10回目の開催となる「アンチエイジング大賞」は11月14日『アンチエイジングの日』に、「素敵に歳を重ね、いつも輝き続けている憧れの有名人・著名人の方」、男女それぞれにお贈りしている賞だ。

また、「年齢にかかわらず、その年に勇気や希望を与え、日本を元気に若々しくして下さった有名人・著名人の方」に対して、特別協賛企業であるアンファー株式会社から「アンファー特別賞」をお贈りしている。

 

今年大賞に選ばれたのは、年齢を増すごとに輝く演技を披露する佐々木蔵之介さんと、CMで若々しいツインテール姿を披露した斉藤由貴さん。

またアンファー特別賞に選ばれたのは、井上康生さん。リオデジャネイロオリンピックの男子柔道で、2個の金メダルを含む全7階級でメダル獲得へと導き、日本中に感動を与えたということから受賞が決定した。

 

》アンチエイジング大賞について詳しくはこちら

a%c2%82%c2%a2a%c2%83%c2%b3a%c2%83%c2%81a%c2%82%c2%a8a%c2%82%c2%a4a%c2%82%c2%b8a%c2%83%c2%b3a%c2%82a%c2%82a%c2%83%c2%9fa%c2%83%c2%8aa%c2%83%c2%bc201609

セミナー会場の外ではアンチエイジングネットワークの賛助企業による物販や商品紹介のブースや、コスメティック検定の紹介ブース、また書店では今回の講師の著書などが販売されていた。

セミナー終了後も多くの来場者がブースを訪れ、終始盛況の下に幕を閉じた。

a%c2%82%c2%a2a%c2%83%c2%b3a%c2%83%c2%81a%c2%82%c2%a8a%c2%82%c2%a4a%c2%82%c2%b8a%c2%83%c2%b3a%c2%82a%c2%82a%c2%83%c2%9fa%c2%83%c2%8aa%c2%83%c2%bc201608

今後も多くの方にとって関心度の高いテーマを調査し、アンチエイジングに関する正しい知識啓発のためにセミナーやWEBサイトを通じて活動していきたい。

 

 

【関連ページ】

★コスメティック検定

★「光老化」啓発プロジェクト委員会

★近赤外線研究会

★巡活マッサージ

★アンチエイジング大賞

アンファー株式会社

  • facebook Share
  • Tweet
  • LINE

この記事が気に入ったら「いいね!」しよう
最新記事をお届けします

カテゴリ一覧