アンチエイジングニュース

以前、13歳以上のヒトの脳の海馬では新たな神経細胞が生成されない、とする研究結果が英科学誌ネイチャー(Nature)誌に掲載されたことがありました。

要は、若年者以外では脳の神経細胞は再生できず、脳細胞は死んでいく一方だという事で、あまり楽しい結果ではありませんでした。

ところが今回その考えを逆転する、「人間の脳では、79歳になっても新しい細胞が生成されている可能性がある」とする研究結果が報告されました。

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これは、米ニューヨーク・コロンビア大学(Columbia University)のマウラ・ボルドリーニ(Maura Boldrini)准教授らの研究チームが、米科学誌セル・ステムセル(Cell Stem Cell)に発表したものです。

問題の焦点となっているのは、人間の脳内で学習や記憶をつかさどる「海馬」という部位で、研究では、急死した14歳~79歳の28人の脳の検死解剖サンプルについて、死亡直後に海馬全体で新たに作られた脳神経細胞と血管の状態を調べました。

その結果、若い人と同様に、高齢の人にも多数の新しい海馬神経細胞を前駆細胞から生成する能力があることが明らかになったそうです。また、年齢に関係なく海馬の量は等しいことも発見できたとされています。

この結果は、高齢者の多くが認知能力や感情能力をこれまで考えられてきたよりも長く保持することができる可能性を示すものです。

ただ研究者らによると、高齢者の脳では血管が老化しているため、新しい脳神経細胞同士の連携がうまくいかない可能性があるとも述べられていますので、大喜びはできませんが・・・。

 

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。

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