高齢者の残存歯の本数と食べる速さはメタボに関連?
健康長寿のためには歯の健康は欠かせないと言われていますが、高齢になっても歯の本数を保ち、ゆっくりと食べることがメタボリック症候群の予防に重要だという発表が愛知学院大学歯学部口腔衛生学教授の嶋﨑義浩氏らの研究グループによりなされました。(「Journal of Epidemiology」6月16日オンライン版に掲載)
中年期の成人だけでない!?歯の健康とメタボリック症候群の関係
歯周病や残存歯の本数などの口腔内の健康状態はメタボリック症候群と関連するという研究結果があります。これらの多くは中年期の成人を対象としたものであり、高齢者を対象にしたものはありませんでした。今回研究グループは、高齢者を対象に歯周病や残存歯の本数、生活習慣の問題点(喫煙や飲酒の習慣、運動習慣、食べる速さ、口腔衛生習慣)とメタボリック症候群との関連を調査しました。
「歯の残存本数」「歯のお手入れ」「食べる速さ」がポイント
75歳および80歳の高齢者2,379人(うち男性960 人)から得た一般健診と歯科健診のデータを解析。
メタボリック症候群のリスクは残存歯が最も多いグループ(20〜28本)に比べて、少ないグループ(0~9本)では1.54倍と、残存歯の本数が少ないグループほどリスクは高いことが分かりました。
また、食べる速さが速いほどメタボリック症候群のリスクが高く(遅いグループに比べて速い群で2.06倍)、歯間ブラシなどを毎日使う人は、全く使わない人に比べてメタボリック症候群のリスクが0.71倍と低いことも明らかになったのです。
さらに、残存歯の本数と食べる速さを組み合わせた解析を行った結果、残存歯が20~28本でゆっくり食べるグループに比べて、残存歯が0~9本で食べる速さが速いグループではメタボリック症候群のリスクが2.48倍と最も高くなりました。
これらの結果から、研究グループは「高齢者では、残存歯の本数、食べる速さ、歯間衛生用具の使用がメタボリック症候群と関連する可能性が示された。」と発表しました。特に残存する歯が少なく、食べる速さが速い人はメタボリック症候群に注意が必要です。
健康長寿のためにも、日頃から口腔ケアや食べる速さに気をつけたいですね。
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