アンチエイジングニュース

塩分過剰だと血圧に悪影響を与える事は、常識ですよね。
食塩摂取量を1日1グラム減らすだけで血圧が1mmHg下がりますので、軽症高血圧の140/90mmHgの人なら、薬に頼らず正常値に戻せます。

ところが今回、塩分は高血圧だけでなく、メタボの原因にもなることが分かりました。

この研究結果は、有人火星探査を想定した宇宙滞在仮想研究から明らかになったとの事ですから、驚きです。

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米ヴァンダービルド大学の研究者らは、2009~11年にかけてモスクワで行われた宇宙飛行士の滞在仮想研究に参加し、4人が105日間、6人が205日間(火星への片道分)、宇宙船環境を模した閉鎖空間で過ごして、生理的な影響を調べました。
その中で塩分摂取量について、6グラム、9グラム、12グラムの3パターンについても調べたそうです。

その結果、塩分摂取量を6グラムから12グラムに増やしたところ、喉が渇き水をガブガブ飲むかと思いきや、逆に水分摂取量が減少することが分かりました。

その理由を調べたところ、どうも体内で水分を保持、または作り出していると考えられました。

更に動物実験で詳しく調べたところ、高塩分食は筋肉の分解を誘導し、そのタンパク質から合成された尿素が腎臓での水分の再吸収を促進して、過剰な水分排出を抑えているらしい事が分かりました。

ところが、この過程ではかなりのエネルギーが必要となり、高塩分食を与えられたマウスは食べる餌の量が増加したそうです。
同様に、人間の被験者も強い空腹感を覚えたとの事です。

以上の結果から、高塩分食はメタボリック症候群を誘発する可能性があると結論しています。

実際、最新の宇宙食は塩分控えめにしてあるそうです。
宇宙の研究は、思わぬところでも役立ちそうですね。

 

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。

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