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麦ごはん×とろろ(山芋)で食後血糖値低下作用を確認

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株式会社はくばくは、山梨大学の研究グループとの共同研究により、「麦とろごはん」という料理の食後血糖コントロールの効果を確認しました。

伝統的な麦ごはんの食べ方として麦ごはんにとろろをかけて食べる「麦とろごはん」があります。大麦にはβ-グルカン、とろろ(山芋とろろ)には粘性の高い水溶性の食物繊維が含まれており、食後の血糖値を低下させることが期待されています。

従来、麦ごはんの血糖上昇抑制効果は知られていましたが、麦ごはんととろろの組み合わせによる効果は不明でした。

この研究では、健康な人を対象に、白米と比較して麦ごはん、とろろごはん、麦とろごはんの食後の血糖値とインスリン値を測定しました。

以下、研究方法と結果をご紹介します。

■研究方法

山梨大学に在籍する糖尿病、生活習慣病などのない健康な学生に対し、日本Glycemic Index研究会が公開している統一手法に従い非盲検ランダム化クロスオーバーデザインで臨床研究を行いました。

具体的には、利用できる炭水化物量を50gに調整した白米、麦ごはん(総食物繊維1.6g、β-グルカン1.0g)、白米に山芋とろろをかけたとろろごはん(総食物繊維0.6g)、麦ごはんに山芋とろろをかけた麦とろごはん(総食物繊維1.9g、β-グルカン0.9g)を提供し、食前(0分),食後15, 30, 45, 60, 90, 120分の血糖を自己血糖測定器で測定しました。また、同時に食前(0分),食後15, 30, 60, 120分にはインスリン濃度をELISA法により定量しました。

各測定ポイントでの血糖値、インスリン値と曲線下面積(AUC)、および各試験食品のグリセミック・インデックス(GI)値を、白米摂取時をコントロールとして、群間比較(対応のあるt検定)しました。

 

■研究結果

① 麦とろごはんを食べた後45分以降の血糖値は白米を食べた時と比べて有意に低下し、AUCも同様の結果を示しました(図1)。また、とろろごはんでは食後血糖値及びAUCの低下は認められませんでしたが、麦ごはんではAUC値に低下傾向があったことから、麦とろごはんの血糖値の低下は大麦の影響が高い可能性が示唆されました。

② インスリン値は麦とろごはんを食べた時に白米を食べた時と比べて顕著な低下が認められましたが、他の試験群では変化がありませんでした(図2)。

③ GI値を100(白米のGI値を80)としたときの、各試験食品のGI値は麦ごはん57、とろろごはん79、麦とろごはん66となり、麦ごはんと麦とろごはんはGI値が55~69の「中GI食品」であることが分かりました。

 

図1 試験食品を食べた後の血糖値の変動(左)と曲線下面積(AUC)の比較

(#は白米と麦ごはんp<0.05で有意に差が認められたことを示し、*, **は白米と麦とろごはんでそれぞれp<0.05, p<0.01で有意に差が認められたことを示します)

 

図2 試験食品を食べた後のインスリン値の変動(左)と曲線下面積(AUC)の比較

(*, **は白米と麦とろごはんでそれぞれp<0.05, p<0.01で有意に差が認められたことを示します)

 

 

本研究により、麦とろごはん、麦ごはんの食後血糖値低下作用が明らかとなりました。麦ごはんの血糖値低下作用はAUCの比較にて特に顕著に認められました。

一方で、インスリンは麦ごはんととろろを組み合わせた時に顕著に低下したことから、大麦ととろろの組み合わせが健康に貢献する可能性がありますが、そのメカニズムはまだ分かっていません。とろろの食感が咀嚼回数などに影響を与え、大麦が十分に消化しないまま小腸に運ばれたため、インスリンの分泌に影響を与えた可能性もありますが、今後、より詳細な検討が求められます。

 

 

■用語解説

(1) 非盲検ランダム化クロスオーバーデザイン:被験者、研究者がともにどの食事群に割付けられたか把握しており(非盲検)、被験者を無作為にグループ分け(本研究では4群)し、時期を変えながら、それぞれの食事を摂取してもらう試験デザインのこと。

(2) 食事負荷試験:白米ごはんなどの食事を摂取した後の血糖値の変化を測定する試験。本研究では、白米、麦ごはん、とろろごはん、麦とろごはんを摂取した後の血糖値の変化を比較している。

(3) グリセミック・インデックス(GI)値:糖質50g相当の基準食摂取後120分までの血糖上昇面積に対する、糖質50g相当の検査食の血糖上昇面積の割合を示す。本研究では基準食は白米となる。

(4) 曲線下面積(AUC):食事負荷試験の血糖値の変動曲線とX軸の間の面積。食事負荷試験での血糖値の増加量を表す指標。

 

 

「麦とろごはん」は、夏バテ解消に効果がある栄養を手軽に摂ることができる料理なので、これからの季節積極的に取り入れたいメニューですね。

 

情報提供:株式会社はくばく

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