アンチエイジングニュース

口腔ケアとアンチエイジング

ウィメンズヘルス(女性の健康)といえば女性の健康、いわゆる臓器別医学が中心となっていましたが現在では「女性の一生涯にわたる健康」のように広域に変化してきています。それは年代別の思春期・青年期・更年期・老年期といった生理的変化だけでなく「社会」「家庭における役割」「女性特有の疾病」などウィメンズヘルスに関する内容は多岐におよんでいるといっても過言ではありません。

今回、多岐に渡るウィメンズヘルスにおいて「口腔」との関連について触れてみたいと思います。
女性の一生は「女性ホルモンと共に生きる」と表現されるほど「女性ホルモン」に大きく左右されることは周知となっています。その女性ホルモンは一生涯で「たったteaスプーン1杯」と言われています。

◎思春期に口腔内で起こる変化
まず、「女の子」が「女性」へと変化する際、口腔内でも同じく変化が始まります。
思春期は女性ホルモンが作られ始め月経が始まります。ある特定の歯周病菌は女性ホルモンを栄養源とする種類が存在するため、思春期であるこの時期は月経の度に歯肉炎(歯茎が腫れる・出血・歯茎が赤い)をおこしやすくなります。
また、これにともなって口臭がでてニオイがキツクなる傾向があるのです。
口と鼻はつながっているため「順応」(自分のニオイが分かりづらい)が起こるため自分の口臭は気付きにくいのです。思春期というデリケートな時期に起こるニオイ口臭が生理的であることを自身が知るためにも口腔ケアを定期的におこない、コミュニケーションがとれ相談できるように、かかりつけ医を作っておくことが重要になります。

◎妊娠・出産時に口腔内で起こる変化
次に起こる第二の変化は青年期の妊娠・出産です。
昔の話で子供を授かり出産すると女性は歯が抜ける・虫歯ができやすくなるなど言われていました。これが「ウィメンズヘルス」的に言う女性の生理的変化につながるのです。
女性は妊娠すると女性ホルモンが多量に分泌されます。思春期同様、女性ホルモンを栄養とする歯周病菌の活動が活発になり、歯茎が腫れ、出血しやすく、さらに悪阻(つわり)の影響で歯磨きが困難になり口腔内環境が悪化してしまうのです。(母親(妊婦)の歯周病はへその緒を通じ胎児に影響を及ぼすと言われています)歯周病が進行すると歯周組織(歯茎など)ではプロスタグランデディンという炎症物質が増えてきます。このプロスタグランディンはなんと陣痛促進剤として使用される薬剤なのですが歯周病が進むと自身の体で「陣痛促進剤」を作ってしまい、それが早産を引き起こすリスクを高めてしまうことが分かりました。現在では保健所や産婦人科での妊産婦検診において出産前に歯周病並びに口腔内ケアをしっかり行うよう指導が始まっています
(低体重児及び早産リスクは喫煙・アルコール摂取の7.5倍offenbacher :j periodontal67:1103-1113,1996より)
このことから歯周病による胎児への影響を考えても自身の健康のためにも
妊娠前からの口腔ケアを習慣付けておくことが大切となってきます。

◎更年期に口腔内で起こる変化

第三に更年期です。
三十代をピークに女性ホルモンは減少を辿ります。口腔内の変化は「唾液の減少」です。唾液の出る唾液腺は女性ホルモン(エストロゲン)の影響を受けます。唾液の減少で食べ物のみならず飲み物のつかえ・唾液による自浄作用の低下からの虫歯・歯周病・口臭、唾液の減少による舌のもつれから会話(コミュニケーション)の不便さ、唾液分泌低下からの抗菌作用の低下による風邪等の疾病舌のピリピリとした痛みなどが引き起こされていきます。
(ドライマウス:唾液の減少で起こる症状)

◎老年期に起こる口腔内の変化
そして第四の老年期です。
第三の更年期のドライマウスが加齢とともにさらに進行していきます。
この年齢でのドライマウス(唾液の分泌が少ない)は嚥下機能の低下した高齢者にとって「誤嚥性肺炎」のリスクがあがることを意味しています。
唾液の減少は虫歯・歯周病を進行させてしまうので歯の喪失になりかねません。
歯を失うことは咀嚼が満足にできす生活の質までも低下させてしまうのです。

◎口腔ケアは専門家に診てもらうことが大事!
ですが歯科医院では虫歯の治療だけでなく適切な個人の口腔状況に合った歯磨き方法・使用器具の説明を行います。ドライマウスに備えての唾液腺マッサージや舌の運動方法も教えてくれます。

専門外来への紹介状(ドライマウス外来)、コラーゲンやヒアルロン酸等の保湿成分ジェルの説明もおこなっています。

歯科とはその方のその時にあった口腔ケアを適切に行うプロです。
70代の健康部門の後悔No.1は歯を大事にしなかったこと。
60代では3位、50代では5位。このように年齢が上がるたびに口腔がいかに重要であるかを身を持って体験されるかたが多いのが現状です。
また上記でご紹介したように、ウィメンズヘルスとは切っても切れない関係にあります。
ご自身の口腔状況とウィメンズヘルスを結びつけてライフステージに起こる環境変化と上手に付き合ってみてはいかがでしょうか。

上野 清香(UENO SAYAKA)

ナチュラルビューティ研究所(ナビけん.com)代表
上野歯科医院副院長
抗加齢医学会専門指導士
顔ヨガ講師
フェイスストレッチ講師
メディカルデンタルエステティシャン講師
ドライマウス専門指導士
英国予防医学機関公認フェイスエクササイズトレーナー
重太みゆき公認M.snow(R)スマイルトレーナー

》健康・美をナビゲートする『ナビけん.com』

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