アンチエイジングニュース

「抗酸化ビタミンの摂りすぎに注意」
――ハセ博士のヘルシー情報最前線(463)

ビタミンEやCなどの抗酸化ビタミンは、老化や生活習慣病の原因である活性酸素を抑制する効果があるため、「若返りのビタミン」とも呼ばれています。

そこで、健康目的で抗酸化サプリメントを服用している人にはちょっと気になる、若返りビタミンのお話です。

抗酸化ビタミンを摂りすぎると、逆に体内の酸化ストレスを高めて有害な作用を及ぼすというものです。

これは、有名な米国のメイヨークリニックのDaniele Versari博士らが、高血圧関連医学誌Hypertension誌に報告したものです(論文タイトル:Chronic Antioxidant Supplementation Impairs Coronary Endothelial Function and Myocardial Perfusion in Normal Pigs)。

抗酸化サプリメントが体内の酸化ストレスを除去し、血管内皮系の諸機能に利益をもたらすことはよく知られています。

しかし、特に酸化ストレスがたまっていない健康な人が、このような抗酸化サプリメントを摂取した場合の影響については、ほとんど研究されていませんでした。

そこで研究者等は、健康なブタ6頭に対してビタミンEとCを12週間投与し、通常のエサを与えたブタ7頭を対象として、心血管系への影響を調べました。

これらのブタから心臓細胞を取り出して調べたところ、ビタミン投与群では対照群に比べて組織の酸化障害の指標であるニトロチロシンが冠動脈壁に多く、また活性酸素の前駆体であるスーパーオキサイド・アニオンの産生量も多いことが分かりました。

これらの結果から、高用量の抗酸化ビタミンを正常なブタに長期間投与すると、体内の酸化還元に不均衡が生じて心筋血流と内皮機能が損なわれ、健康だった心血管系に悪影響を及ぼしたと考えられるそうです。

また、今回ブタに投与されたビタミンの量は、われわれが摂取する量とほぼ同じ100IU/kg/日ですので、人にも同様の悪影響が出ている心配があります。

今までも、高用量のビタミンEを慢性疾患の患者さんが服用した場合、総死亡率が上昇する可能性が示されていますし、また試験管内の実験ですが、酸化活性が低い条件下では抗酸化ビタミンは逆に酸化作用を促進作用することが明らかになっていましたので、気になる結果です。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。

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