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「美肌:緑茶は炎症性皮膚炎にも有効」
――ハセ博士のヘルシー情報最前線(446)

緑茶には強い抗酸化作用があり、がんなどの発生を抑えることがよく知られています。
また、昔から沢山緑茶を飲む女性は肌がきれいだといわれており、美肌成分として有名はビタミンCが多いことが挙げられます。
ビタミンCは美肌に必要なコラーゲンの生成に関与しており、紫外線などからお肌を守ってくれると考えられます。

そこで今日は、緑茶が単に肌の健康に有用というだけでなく、皮膚疾患の治療にも有効であるという話題です。

これは、米国ジョージア大学医学部のStephen Hsu博士が、皮膚科学会誌 Experimental Dermatologyに報告したものです。
乾癬は、皮膚細胞の増殖のコントロールがうまくいかず、皮膚が厚くなる疾病です。

感染防止に機能する免疫細胞が、炎症性のサイトカインが過剰に遊離されることにより、皮膚細胞の過剰増殖が起こるとされています。

また、皮膚細胞の寿命を調節するカスパーゼ-14などがうまく機能できなくなり、通常は分化後に死滅し、皮膚のバリアーを形成するはずの細胞がそのまま増殖を続けてしまうことが原因、とされています。

このような皮膚細胞の異常増殖は、狼瘡lupusの様な自己免疫疾患でも起こり、皮膚障害をもたらしてフケの原因となります。

研究では、炎症性皮膚疾患の動物モデルを用い、緑茶成分が皮膚細胞の細胞増殖にどのような効果をもたらすかを調べました。

その結果、緑茶を与えると、皮膚細胞の増殖の際に発現される増殖性細胞核抗原(proliferating cell nuclear antigen, PCNA)のレベルが減少することがわかりました。

ちなみに、乾癬ではこの遺伝子が過剰発現し、また皮膚細胞の増殖速度が高まっていることがわかっています。

実際、緑茶を与えない場合では、通常は皮膚細胞が分裂する基層でしか見られないPCNAが、皮膚の表面の全ての層で観察されました。

ところが、緑茶を与えた場合では、正常の皮膚組織と同様に、PCNAは基層でしか発現しなくなることが明らかになりました。

すなわち、緑茶には、PCNAの異常発現を抑制し、正常な皮膚細胞の分化が起こす作用があり、緑茶成分が乾癬などの免疫疾患に有効である可能性を示しているわけです。

現在の乾癬などの皮膚疾患の治療は、紫外線照射や強い薬品を用いた化学療法が一般的ですが、このような治療法は副作用が強く、時には皮膚がんのリスクを高めることが危惧されています。

また、市販のふけ防止のシャンプーには発がん作用があることが知られています。
一方、緑茶は副作用がほとんどないので、今後有望な治療法となりうると期待されている訳です。

緑茶は日本の誇る健康飲料です。この緑茶の効果が日々明らかになってきていますが、頼もしい限りです。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。

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