アンチエイジングニュース

「老化防止には腹八分目。がんの予防にも有効。」
――ハセ博士のヘルシー情報最前線(440)

カロリー制限食を続けると、老化のスピードが抑えられることがわかっています。
実際、マウスでは通常より若干のカロリー制限をするだけで、40%も長生きすることが報告されています。
また、魚を食べることの多い人は、肉食の人よりも長寿であり、また果物や野菜を多く食べることも、健康で長生きするには重要と考えられています。
カルフォルニア大学のStephen Spindler教授らは、摂取カロリーを少なくすると、健康で長寿出来るようになり、高齢の人でもその効果があると報告しています。
興味深いことに、単に老化の予防に有効なだけでなく、がんなどの抑制にも有効とのことです。
そこで今日は、この国際実験生物学学会で報告された話題をお送りします。

相手が人間だとカロリー制限の実験を行うのが難しいので、Spindler博士らはカロリー制限をしないでも、健康で長寿を達成できる薬がないかどうかを調べました。

まず、そのような薬の手がかりをつかむため、カロリー制限した時に生ずる遺伝子発現のパターンを調べ、更に薬を飲んだ際にも同様のパターンを示すものを調べたそうです。そして特に、高齢者にも有効なものを探しました。

その結果、糖尿病の治療に使用される薬の一つが、カロリー制限食と同様の効果をもたらすことが分かりました。

また、食事内容を変化させると、さまざまな生理的な変化が起こり、特にがん化にも影響することが明らかになりました。

実際、カロリー制限をした場合、がん化を起こす細胞やDNAのダメージが取り除かれ、がん化の元となるダメージが回復しやすくすることが知られています。

しかし、そのようなダメージを取り除く能力は、加齢と共に弱まっていくのが普通です。

ところが、今回見出されたカロリー制限食、あるいはそれと同様の効果をもたらす薬は、そのようなダメージを取り除くだけでなく、ダメージからの回復にも有効であることが確認されました。

古来より、食べ過ぎず、腹八分目にすれば、健康で長生きが出来るといわれています。

特に、現代のような飽食の時代には重要な考え方だと思います。

皆様、あまり美食・飽食を追い求めず、清貧な生活で、健康で長生きを目指しませんか。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。

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