アンチエイジングニュース

【特別企画】専門家が男女の「なぜ?」に迫る Vol.4

熊本悦明(札幌医科大学 名誉教授)×二松まゆみ(恋人・夫婦仲相談所 所長)特別対談

男女の関係はいつまでいってもわからないもの。
夫婦仲、恋仲に悩む女性会員1万3千名が集まる「恋人・夫婦仲相談所」所長の二松まゆみさんを迎え、男女の「なぜ」に迫ります。

■愛情ホルモンである「オキシトシン」

二松 女性がパートナーのアドベンチャースピリットをコントロールすることの重要性はわかりました。でももともと男性ホルモンが高い人は、セックスレスの心配ではなく浮気の心配が出てくるんですよね。

熊本 それは大丈夫。セックスをすることで脳の室傍核(しつぼうかく)というところから「オキシトシン」というホルモンが分泌されますから。

二松 知っています。最近「幸せホルモン」とか「愛情のホルモン」とか言われていてメディアでも良く取り上げられているんですよね。

熊本 性行為があった場合、それが例えば風俗嬢との場合でもオキシトシンが分泌されるんです。スキンシップの最高の行為である性行為をすると、オキシトシンも一番分泌される状況だと考えられます。本当に親しいパートナーでなくても性行為の後に仲良くなったような気がするのは、このオキシトシンの作用なのです。

二松 オキシトシンが浮気防止と関係あるのですか?

熊本 オキシトシンの作用にはいろいろなものがあるのですが、その1つとしてパートナーを持っている男性にオキシトシンを投与すると浮気をしなくなるという効果があるとされています。他の女性に対しての興味を持たなくなるという論文も注目されています。浮気されるのはパートナーの男性のオキシトシン量を日常増やす心掛けがないからともいえるかもしれません。

二松 それは過激発言ですね。オキシトシンを大量に出すためにはどのようにすればいいんでしょうか。

熊本 日常生活の中のスキンシップでもオキシトシンは分泌されます。実際におなかを30回なでるとオキシトシンが出て相手に対して好意を持つという論文もあるのです。ですから男性の自分へのアドベンチャースピリットを高めるためにも、オキシトシンを分泌させるためにも相手とのスキンシップを密に取るという努力が重要なのです。

二松 性行為までいかなくでもオキシトシンは出るんですね。

熊本 そうですね。ちょっと興味深い話があります。男性の場合射精をするとオキシトシンがかなり出るということがわかっています。性行為の後に男性が寝てしまって…と不満を持つ女性が多いと聞きますが、そうではなくて性行為が大変満足いくものであったためにオキシトシンが大量に分泌され、眠ってしまうんです。これは生物学的な重要な現象なのです。男性が寝てしまうということは充分満足したからと思ってほしいですね。

二松 でも、女性は寂しいんです。なんで女性は眠くならないんですか。

熊本 女性はもともとのオキシトシンが多いため増えても、あまり男性の様な反応が出ないのかもしれません。日常的にはオキシトシンは女性ホルモンによって合成されます。これに対応する男性ホルモンで合成されるものがバゾプレシン、ドーパミンです。ことにバゾプレシンが出ることによってアグレッシブになるのです。男性はバゾプレシン、女性はオキシトシンで男女の特徴が生まれてくるのですね(図1)。



だから男性にオキシトシンを補充すると女性に心理的に近づくのです。
年をとってきて男性が優しくなるのは、男性ホルモンは落ちるが、女性ホルモンは減少しないので、体の中の女性ホルモン比が高くなり、オキシトシンが増えるから丸くなるからなんです。逆に女性は年をとったら女性ホルモン値が低くなるのに、男性ホルモンがあまり低下しないので、性格的にきつくなってくるのです(図2)。

次回もオキシトシンについての話題を提供いたします。

>>>『Dr.熊本×二松まゆみの男女の「なぜ?」に迫る』バックナンバーはこちら

熊本 悦明(くまもと・よしあき)
日本 Men’s Health 医学会理事長、札幌医科大学名誉教授

東京大学医学部卒業。東京大学講師(泌尿器科学講座)を務めたのち、札幌医科大学医学部泌尿器科学講座主任教授。男性医学・泌尿器科外科学・尿路性器感染症学を中心に研究を進め、日本 Men’s Health 医学会及び日本性感染症学会を創立している。
その後、(財)性の健康医学財団会頭を経て、現在、札幌医科大学名誉教授、(財)性の健康医学財団名誉会頭、NPO法人アンチエイジングネットワーク副理事長、日本抗加齢医学会顧問、日本思春期学会顧問、日本性機能学会名誉会員など

【受賞】
保健文化賞、志賀潔・秦佐八郎賞
日本泌尿器科学会:坂口賞・鈴木賞

HP:日本臨床男性医学研究所


二松 まゆみ(ふたまつ・まゆみ)

元主婦マーケティング会社経営。夫婦仲、恋仲に悩む女性会員1万3千名を集め、恋人・夫婦仲相談所 運営。所長を務める。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察。恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。著作、講演、メディア取材多数。NHK離婚特集番組、セックスレス問題を考える番組等に出演。

【著書】
『ニッポン男子の下半身が危機的なことに気付づいたワタシ』(扶桑社新書)
『夫とは、したくない。』(ブックマン社)他多数。
新刊『40歳からの女性ホルモンを操る53の習慣』(扶桑社)

HP:恋人・夫婦仲相談所
ブログ:『すずねドキドキブログ』

 

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