アンチエイジングニュース

熊本悦明(札幌医科大学 名誉教授)×二松まゆみ(恋人・夫婦仲相談所 所長)特別対談

男女の関係はいつまでいってもわからないもの。
夫婦仲、恋仲に悩む女性会員1万3千名が集まる「恋人・夫婦仲相談所」所長の二松まゆみさんを迎え、男女の「なぜ」に迫ります。

■アドベンチャースピリットのマネージができる女性になりなさい

二松 インターネットとかいろんな調査の結果を見ますと最近は女性の方も浮気をしてる。私、以前、1,609人の女性の調査をしたんですけど、約17~18%の女性が自分のパートナー以外との性交渉がある、浮気・不倫の交渉があるっていう答えを出してるんですね。他の調査結果でも大体2割ぐらいの女性は「浮気している」にイエスって答えてるんですが。これは女性の中にある男性ホルモンがなせる技ということですか?

熊本 そうですね。女性に男性ホルモンを補充すれば性的欲望が高まるということは臨床的によく知られています。浮気をする女性は男性ホルモンが高い方なのだと思いますよ。生き物として何の倫理的制約もなく、そういう相手さえあれば性的な交渉に欲望を持ち、性行為をするのはそんな不思議なことじゃない。要するに人間といえども生き物なのですから。勿論そんなことだけでなく生活活性度全体がかなり高い人は当然、社会的行動力はかなり高いはずです。ただ教養的センスのコントロールも強いので必ずしも性的生活の活気には結びつかないのではないでしょうか?生活環境次第でしょうね。

二松 うちの夫婦仲相談所には旦那さんが浮気性で困るとか、パートナーが他の女性に目をやって困るとか、という相談に来る人が多いわけですが、浮気性の男性を直すというか元に戻すために男性ホルモン抑えるということは可能なんですか?

熊本 男性ホルモンを抑えるのは難しいんじゃないですか。

二松 難しい…?

熊本 そしたら今のパートナーに対しても関心を示さなくなるのでは。

二松 なるほどね。

熊本 僕に言わせれば女性が自分自身に関心を持ってもらうように振る舞うというか…女性側の対応が変われば、例えばきれいにするとか優しくするとかすればもちろん変わるでしょうが…。
二松 これはもう女性の問題ですね。

熊本 自分に目を向けさせるような魅力を自ら創っていくというか…そういう意識がやはり必要なんじゃないかな。パートナーが浮気して困るっていう女性は日頃のパートナーに対する姿勢とかそういうことが問題なんじゃないのですか?一般論ですがそれを考えないで、ただあの人は浮気するとか何とかというのは自分勝手な面もあるのではないでしょうか。

二松 浮気するからパートナーの男性ホルモン下げましょうよ…そんな問題ではないわけですよね。

熊本 男性ホルモンというのはアドベンチャースピリット外向生理の源です……新しいものとか面白いものにより興味を持つわけです。だから、いかにその人が魅力ある女性かどうかっていうことが重要になるんですよ。

二松 アドベンチャースピリット?

熊本 同じような女性としての印象があったとしても新しい方に関心がある、出てくる。それもアドベンチャースピリット。すぐ生活行動に結びつかないかもしれませんが…。

二松 そうなんですね。

熊本 アドベンチャースピリットのもとは男性ホルモンです。やっぱりそういう気持ちを起こさせるような対応が女性に求められているんじゃないかなぁ。女性の方から言えば「勝手なこと言って何だっ!」っていうようになるかもしれないけど(笑)。やっぱりパートナーを惹きつけるだけの魅力を常に創るということが重要なんじゃないですかね。結婚後、生活に馴れ過ぎたり、子供中心になったりで自分の女性性がなくなってきて女としての魅力を失っているということはありませんか?

二松 はい。私もそう思います。「モンスターワイフ」という本を書いて、身なりをととのえ、愛情持って旦那さんに接しないと抱かれなくなるぞと警告しました。

熊本 アドベンチャースピリットは新しいものに関心を持ったり、ブラックボックスに入ってるものを開けて見てみたいとか…女性の体を見たいというのも隠されているものを見たいという欲望ですね。男性ホルモンっていうのは餌を取りに行く、外敵を抑えるなど外向きの行動をささえている。その外に向く気持ちのもとはアドベンチャー。だから新しいもの、隠れているものっていうものを探していくっていう流れの中でその気持ちを引き立てる要素があればどんどんそっちへ動いていってしまうというのはあるんじゃないですか。
奥さんが髪型を変えたり、綺麗な恰好になった時、よく見なおしたというのも同じで。勝手かもしれませんが、男の心動きを女性は知って欲しいですね。

二松 私は夫婦仲相談所所長を長年やっていまして、いろいろな浮気問題も相談されるのですが「英雄色を好む」じゃないですけど、結構バリバリバリっと外でアグレッシブに仕事をなさっている旦那さんの方が浮気をしやすい傾向にあるんですよ。

熊本 それはありますね。ラットの実験があるのですが、お腹壁に男性ホルモンの結晶をつめたチューブ埋め込んだラットと、何にもしないラットを創り比較してみましたます。両方とも人間でいうと80歳相当の年齢なのですが、片方は男性ホルモンが30代ぐらい。これらのラットで5分間にどう動くかをレコードしたら男性ホルモンを入れてない方はじいっとして全然動かないのに、男性ホルモンを入れた方はかなり元気にトットットッと動いている。そして次に発情したメスを横に置くと元気な方のラットは必ずマウンティングするわけです。男性ホルモンをいれていないマウスは発情したメスが来ても全然見向きもしないのです。

二松 なるほど。

熊本 僕はこれこそ英雄色を好むっていうことの生物学証明であるだと思ってます。

二松 そうですよね。

熊本 行動活性と性的活性は、共に外向きの生理でありアドベンチャースピリットと性欲はそれを動かす原動力なのですよ。

二松 なるほど。だから仕事や遊びがアグレッシブな人は女性に対する恋愛感情とか性欲もアグレッシブになるのだし、全ての行動活性が強いということになるのですね。

熊本 男性ホルモンは元気、やる気のもとっていうのはそこなのです。セックスという特別な印象やイメージで見るからいけないのであって、その人の生活・行動力の1つとして見ると、すべてに元気がいいってことになる。男性のカラーが強くでる行動力の1つとしては、女性への関心が強いということではないですか。もちろん仕事面にも出ると思いますが。逆に言えば女性側が自分に対してアドベンチャースピリットを感じてもらえるような雰囲気を創ってほしいいうことです。

二松 なるほどですね。

熊本 女性はパートナーのアドベンチャースピリットをいかにマネージするかっていうことに尽きるんじゃないかと僕は思いますね。

二松 分かりました。それは私も女性に言っていかなきゃいけないことですね。
アドベンチャースピリットという単語が何回も出てきましたけども。冒険、仕事も含めワクワクすること…浮気する男性っていうのは確かに仕事にもアグレッシブで、時間も無いはずなのになぜか若いお姉さんとっていうタイプの男性が非常に多いんですよね(笑)。

熊本 そういう意味でも冒険なのですし、冒険っていうのは無理してもやることでしょう。

次回はオキシトシンの話
をお届けいたします。

熊本 悦明(くまもと・よしあき)
日本 Men’s Health 医学会理事長、札幌医科大学名誉教授

東京大学医学部卒業。東京大学講師(泌尿器科学講座)を務めたのち、札幌医科大学医学部泌尿器科学講座主任教授。男性医学・泌尿器科外科学・尿路性器感染症学を中心に研究を進め、日本 Men’s Health 医学会及び日本性感染症学会を創立している。
その後、(財)性の健康医学財団会頭を経て、現在、札幌医科大学名誉教授、(財)性の健康医学財団名誉会頭、NPO法人アンチエイジングネットワーク副理事長、日本抗加齢医学会顧問、日本思春期学会顧問、日本性機能学会名誉会員など

【受賞】
保健文化賞、志賀潔・秦佐八郎賞
日本泌尿器科学会:坂口賞・鈴木賞

HP:日本臨床男性医学研究所


二松 まゆみ(ふたまつ・まゆみ)

元主婦マーケティング会社経営。夫婦仲、恋仲に悩む女性会員1万3千名を集め、恋人・夫婦仲相談所 運営。所長を務める。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察。恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。著作、講演、メディア取材多数。NHK離婚特集番組、セックスレス問題を考える番組等に出演。

【著書】
『ニッポン男子の下半身が危機的なことに気付づいたワタシ』(扶桑社新書)
『夫とは、したくない。』(ブックマン社)他多数。
新刊『40歳からの女性ホルモンを操る53の習慣』(扶桑社)

HP:恋人・夫婦仲相談所
ブログ:『すずねドキドキブログ』

 

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