アンチエイジングニュース

「歯周病は内臓にもダメージ」
――ハセ博士のヘルシー情報最前線(399)

日本人にもっとも多い病気は、歯周病といわれています。
厚生労働省の「歯科疾患実態調査」によると、歯周病は25~34歳の若い世代ですでに約80%、45~54歳の中年層では88%もの人にその兆候がみられます。
ところが、これほど歯周病の人が多いのに、その本当の怖さはあまり知られていません。

実はこの歯周病、糖尿病やリウマチ、あるいは心臓病をはじめ呼吸器疾患と密接な関係があることが分かってきました。
さらに今回、歯周病菌をのみ込むと腸内細菌が変化して様々な臓器や組織に炎症を起こすことが、新潟大大学院医歯学総合研究科の山崎和久教授のグループの研究で明らかになりました。

これまでも、歯周病になった歯茎などの患部から週病菌が侵入し、全身を循環して血管や脂肪組織、肝臓などに炎症を起こすと考えられていたのですが、その具体的な立証はなされていませんでした。

そこで研究では、歯周病の原因菌の一種をマウスの口に投与し、内臓に対する影響を調べました。

その結果、このような歯周病菌を飲み込んだマウスでは腸内細菌のバランスが崩れ、腸壁の細胞の間に生じた隙間に菌が侵入することがわかりました。

すなわち、歯周病菌の毒素が分解されずに腸から吸収され、血液を通して様々な臓器に広がることが証明されたのです。

また、これらの変化は肥満や糖尿病でみられる特徴と似ているため、歯周病が全身に悪影響を及ぼすことの解明につながるのではないかと期待されています。

山崎先生によると、「早い時期からの口腔管理が、将来的にメタボリックシンドロームなどのリスクを減らすことにつながる」との事ですので、歯や歯茎のお手入れは十分になさって下さい。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。

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