アンチエイジングニュース

アンチエイジング 美食スタイル

今年は秋を感じることなく、冬の風が吹きはじめましたね。
この時期、個人的に楽しみにしているのが、紅葉を楽しむことでした。
でも、都内では色づいてきたかと思ったら、最近の強風に葉が落ちてしまっている木もみられますね。秋ならではのコントラストがきれいに描かれないのは、とても残念です。葉が落ちるのが早い分、木々に装飾されたイルミネーションの輝きは、長い期間楽しめるかしら。

寒さが増すと、もうひとつ楽しみがあります。それは、“鍋”。
先日開催された野菜ソムリエ協会さんとのコラボセミナー企画「フライパンでアンチエイジング野菜鍋」でもご紹介されていたように、日本の冬の食卓に欠かせない料理です。
今回は、鍋料理に欠かせない素材のご紹介はもちろんですが、鍋自体の魅力にも迫ってみたいと思います。

***鍋の具材に“山くじら”?鍋ブームは江戸時代から***
寒さに凍え、芯まで冷え切った体を温めてくれる鍋料理。家族や仲間で鍋を囲むのは楽しいですね。“団欒”という言葉がぴったりな微笑ましい光景です。
では、その光景はいつ頃からみられるものだったのか。そのルーツは江戸時代にありました。

江戸時代以前の食卓の主流といえば、“膳”でした。人数分の膳に料理をのせて出すものです。すでに、一人分の料理が目の前にあるわけですから、鍋料理や大皿料理のように、取り分けるということはありません。食事中のおしゃべりは不作法とされていたので、会話もほとんどなく、黙々と食べる状態ですね。
江戸の人口が増えた元禄期の頃、長屋という住居が多く建てられるようになりました。
よく時代劇に出てくる場面に、井戸で水を汲んだり、野菜を洗ったりする光景があったと思います。また、家の前で七輪を使って魚を焼く、なんてことも。女性たちは家事をしながら、会話を楽しみました。寒い冬には、七輪に小さな土鍋を置き、豆腐や野菜を入れて鍋を作ったといいます。この地域コミュニケーションが鍋料理を生み出したともいえるようです。

食文化が盛んになり、料理屋にも鍋の登場です。
古来から狩猟をして動物の肉を食べていた私たちの祖先。
しかし、この時代は“肉食禁忌”が盛んでした。農業の中でも特に稲作を尊重した時代背景があり、獣肉を食べることが避けられていたのです。とはいえ、流通がまったくなくなったわけではないようで、庶民は様々な方法で獣肉を口にしました。
料理屋には、“山くじら”という看板が掲げられ、本当は猪(又は豚)の肉を提供していたにも関わらず、獣肉ではなく「鯨の肉だ!」という主張をしていたようです。ちょっと笑えますね。そんなごまかしをしつつ、猪や鹿、馬の肉をネギと共にいただく鍋は大人気だったようです。豚肉は“ぼたん鍋”。馬肉は“桜鍋”という異称表現の鍋もありますね。

***食材や味の種類は無限大!女性がそそられる鍋***
話を現代に戻しましょう。
鍋料理は、食材や味のバリエーション、郷土料理としてのレパートリーと、定番のものからまだ食べたことのないものも様々あると思います。
皆さんのご家庭では、どんな鍋料理が登場しているのでしょうか?
また、外食では、どのような鍋料理を食べる機会がありますか?
普段食べている鍋料理もアンチエイジングに欠かせない魅力があるのです。

~コラーゲン鍋の代表格「水炊き」~
鶏肉を使った水炊きは、福岡県の名物料理です。具材には、鶏肉のぶつ切りやつみれ団子が入っています。さらに、鶏ガラを長時間煮込んで白濁にしたスープが特徴です(白濁しない場合もあります)。鶏肉の皮や骨髄から出たコラーゲンは、女性向けのアンチエイジングポイントになります。
コラーゲンたんぱく質です。体内でアミノ酸に分解、吸収されます。よく「コラーゲンは肌に潤いを与える」といわれていますが、肌だけではなく、髪の毛や爪などにも潤いや艶を与えてくれます。肉そのものはもちろん、鍋の具材には豆腐もよく入っていますよね。様々な食材からタンパク質を摂取することが大切です。
鶏肉自体の栄養素としては、ビタミンAを忘れてはいけませんね。粘膜を強くしてくれたり、免疫力を高めてくれたりします。老化予防、美肌の維持にも役立ってくれるので、一石二鳥の活躍をしてくれるでしょう。締めのおじやには、卵を入れることもお忘れなく!

~漢方と羊肉で燃焼パワー炸裂「火鍋」~

私がこの鍋の存在を知ったのは10年ほど前です。羊(ラム)肉を使用したモンゴル発祥の鍋料理のひとつ。中国では頻繁に食べられています。鍋は中央に仕切りがあり、白湯スープと麻辣スープの2つの味が一度に楽しめることで、日本でも人気となりました。
白湯スープは、先ほども話をした水炊き同様に、鶏肉ベースとなっています。私が注目したのは、もうひとつの麻辣スープでした。
見るからに辛そうな唐辛子たっぷりのスープです。さらに漢方(スパイス)を多く使用していることで、辛さも強烈ですが、味に深みがあります。
ナツメやリュウガン、カンゾウ、クコの実や八角など、代表的な漢方がふんだんに入っています。一番の活力源となっているのが、新陳代謝を良くしてくれること。温かな鍋を食べるだけでも、体がポカポカしてきますが、唐辛子のカプサイシンが脂肪を燃焼させ、代謝を良くしてくれます。ナツメは、冷え症の解消につながりますし、スープを飲めば、血行促進や滋養強壮、疲労回復にも期待ができます。
メイン食材である羊肉は、北海道ではジンギスカンに代表されるように、羊肉の需要は高いのですが、全国的に広く食されているものではありません。
しかし、羊肉の魅力は草原のように広大です。
なんといってもコレステロール値が低いこと。これは、鶏肉の約1/2といいます。不飽和脂肪酸が豊富に含まれていて、脳卒中や心筋梗塞の予防にも役立ってくれます。
さらに、体内の脂肪燃焼の助けをしてくれることも魅力です。体脂肪を分解する成分のカルニチンが含まれていて、加齢によって脂肪燃焼が出来にくくなる体を補ってくれるでしょう。
また、他の肉と比べて、羊肉は肉質の脂肪が溶ける温度(脂肪融点)が高いという性質をもっています。私たちの体内温度より高い44℃なので、体内で脂肪が溶けにくく、吸収されにくいのです。美味しいものは食べたいけど、余分な脂肪を体内には留めておきたくないですよね。
宴会シーズン到来です。食べ過ぎや脂肪が気になる方は、火鍋パーティーをおすすめします。

鍋料理は、ひとつの鍋で野菜や肉類、魚類など、アレンジによって様々な味を楽しむことができます。スープを一緒にいただくことで、素材から溶け出した栄養素や出汁もまるごと食べられるし、ご家庭で鍋ものをすれば洗い物も少なくてすみますね。
素材とスープをうまく組み合わせて、美味しさはもちろん、体に優しい相乗効果でこの寒い冬を乗り切りましょう。

伊能 すみ子(INOU SUMIKO)

食の専門家であるフードアナリスト1級。
気象番組ディレクターを経て、日本をはじめ世界各国の料理や
食文化を学ぶ。
エスニック、スイーツを中心に、様々な食の情報をテレビ、雑誌、
ウェブなどのメディアにて提案、執筆。
自らのアンチエイジングフードのポイントは「スパイス」。
古代エジプトより薬として活用されたスパイスをこよなく愛する。
ブログ『the next ASIAN FOOD star☆』更新中

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