アンチエイジングニュース

「肥満と収入の関係:肥満は低所得層よりも、高所得層で増加。」
――ハセ博士のヘルシー情報最前線(343)

収入が増えると、肥満になりやすくなるという話題です。当たり前のように聞こえるかもしれませんが、今までの説では、肥満は低所得者層に多いとされていました。
しかし今回の調査で、所得の多い家庭でも肥満の問題が大きくなりつつあることが分かりました。

これはアイオワ大学のJennifer G. Robinson博士らが、ワシントンDCで開かれた、米国心疾患年次総会(American Heart Association’s annual conference on cardiovascular disease, epidemiology and prevention)で報告したものです。

研究では、1971年~1974年の間、及び2001年~2002年の間の、米国人家庭の収入と、身長と体重の比であるBMI(body mass index)との間の関係を調べました。
その結果、2001年~2002年の1年間に6万ドル以上の収入があった家庭では、26.8%が肥満家庭で、この所得層では30年間に肥満傾向が高くなっており、1970年代に比べて2.76倍も増加していたそうです。
その一方で、年間2万5千ドル~6万ドルまでの家庭では、その増加率は1.94-2.09倍に留まっており、さらに年間2万5千ドル以下の低所得者層では、肥満家庭への増加率は更に低く、22.5%から32.5%にしか増えていないことがわかりました。

この結果は、今までよく言われているような“肥満は貧民に多い”とする説と矛盾しています。

この説は、貧民層はカロリーの高いファーストフードを食べる機会が多く、健康な食事をしないので、肥満になりやすいとするものです。
しかし今回の結果は、そのような単純な説では説明がつかず、肥満が複雑な社会背景から生じていると、研究者等は指摘しています。
裕福になると美食を求めて外食するようになり、その一方で運動しないためではないかと言う意見もあるようです。

しかしどのような理由にしても、肥満を解消するにはカロリー摂取を落とし、運動をする他にはよい方法はありません。

毎日必要以上に100キロカロリーづつ取るとしたら、一年で10ポンド(約4.5kg)、300キロカロリー多く取ると300ポンド(約13.5kg)体重が増加するそうですので、お金持ちの方も、そうでない方もお気をつけ下さいませ。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。

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