アンチエイジングニュース

「飽和脂肪の摂取は精子数を減少させる」
――ハセ博士のヘルシー情報最前線(384)

チーズや肉を好んで摂取する男性は、精子の数が減少している可能性があるそうです。
これは、デンマークの研究チームが、医学誌「アメリカン・ジャーナル・オブ・クリニカル・ニュートリション」で発表したものです。
(論文タイトル:High dietary intake of saturated fat is associated with reduced semen quality among 701 young Danish men from the general population/医学誌名:Am J Clin Nutr February 2013 ajcn.042432; First published online December 26, 2012. doi:10.3945/ajcn.112.042432/著者:Tina K Jensen 他)

食事と精子の数や質の関係については、これまでにも多くの研究で指摘されていました。
例えば2011年には、「小麦など穀類を多く摂取すると精子の濃度や動きに改善がみられる」とブラジルの研究者らが報告しており、果物も精子の動きを速める効果があることも分かっています。
しかしこうした研究は、不妊治療を求めに来た男性を対象にしている場合が多く、通常の人についてはよくわかっていませんでした。

そこで今回の研究では、2008─2010年に軍入隊検査を受ける健康な20歳前後の男性701人を対象に調べたそうです。
調査では、過去3ヶ月の食事内容について聞き取りを行いました。
同時に男性の精子サンプルを集めて、飽和脂肪の摂取量に応じて4つのグループに分類し、それぞれのグループの精子の数を比較したそうです。

その結果、摂取エネルギーの15%以上を飽和脂肪から得ていたグループは、1ミリリットル当たりの平均精子数が4500万個、総精子数が1億2800 万となっていました。

その一方で、飽和脂肪の摂取量が最小の男性(摂取エネルギーの11. 6 パーセント未満)では、精子濃度が 1 ミリリットル当たり 5000 万、総精子数が 1億6300 万でした。
すなわち、飽和脂肪の摂取量が最も多かったグループでは、最も少なかったグループに比べ、精子濃度が38%低く、精子の数も41%少ないことになります。  

以上の結果から、肉や乳製品を多く食べる食習慣は、心臓血管疾患のリスクを高めるだけでなく、男性の不妊症の原因となる可能性があるとされています。
やはり健康には、肉食を少なくして、穀物や野菜を多くとる方がよさそうです。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。

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