アンチエイジングニュース

「肥満気味の人の方が長生きできる」
――ハセ博士のヘルシー情報最前線(383)

「今年こそは、ダイエット!」と、新年の誓いをした方も多いと思いますが、軽い肥満の人の死亡リスクは標準体重の人より低い、というニュースです。

これは米国疾病予防管理センター(CDC)が、権威ある医学誌ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(JAMA)に発表したもの。
(論文タイトル:Association of All-Cause Mortality With Overweight and Obesity Using Standard Body Mass Index CategoriesA Systematic Review and Meta-analysis/著者:Katherine M. Flegal 他/医学誌名: JAMA. 2013;309(1):71-82. doi:10.1001/jama.2012.113905. )

研究では、世界で約300万人と27万件の死亡例を対象におこなわれた97の報告を分析しました。
その結果、BMI値25から30の人は標準(18.5から25)の人よりも死亡リスクが6%低いことが明らかになりました。
ちなみに、このグループの人は肥満(1度)とされ、米国人口の30%以上を占めるそうです。しかしながら今回の報告によると年齢、地域にかかわらず一貫性のある結果が得られたそうです。この発見により、心臓病や糖尿病などの慢性疾患をかかえる人は、体重が標準体重より数キログラム重い方が長生きする傾向があるという「肥満の逆説」が証明されたわけです。

理由のひとつとして、こうした患者が十分な栄養を摂取できない場合、体重が数キロ多ければ、その蓄えを代謝に回すことができるためと考えられるそうです。
その一方で、BMIが35以上の高度に肥満の人の死亡リスクは、標準の人よりも29%も高いことも明らかになりました。
したがって、肥満自体が体に良いわけでなく、ある程度以上の肥満は死亡リスクを高めるのは間違いがないようです。

これらの結果から著者らは、「太っていることは良いことだというメッセージではない。体をもっと動かして、より健康な食生活をすることは健康にとって非常に重要である」と注意しています。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。

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