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Vol.6 美容医療の注意点

「アンチエイジング」と聞いて何を想像しますか?
化粧品?メイクアップ?それとも生活習慣の改善?

アンチエイジングには様々な方法がありますが、やはり真っ先に効果を感じられるものとして「医療」の分野に属するものが多いのが現状です。
「医療」に属するものは、化粧品や食事改善などと違い、目に見えた効果が出やすい一方、きちんと専門医の管理下で行わなければ取り返しのつかない結果となりかねません。

そこで今回は美容医療を受ける上での注意点について少し考えてみたいと思います。
そもそもどんなものが「医療行為」とみなされるのでしょうか。

>>「医療行為」とは?
まず、様々な場面で議論がなされている「医師法17条」によると「医師でなければ、医業をなしてはならない」とされています。
では「医業」とは何か?
平成17年に厚生労働省医政局長が各都道府県知事に向けて通達した文書によると、「当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(医行為)を、反復継続する意思をもって行うこと」とあります。

>>「医療」と「医業」。また「医療」と「医療行為」はちょっと違う
そもそも「医業」とは「医療」を生業とすることで、「医療」には特質した定義がないのだそう。さらに「医療」とは治療を目的とした医師のみが行える、反復的な業務を指す場合が多く、「医療行為」という言い方となると単発的な業務を指す場合が多いとのことです。
このように少しややこしい話となってしまいましたが、いずれにせよ「医療」の定義が曖昧なため、『「医療行為」とは何か』を問われても、グレーゾーンが多く、非常に線引きが難しい状況となっています。

>>では美容医療とは?
美容医療の中でこれに該当するものとして挙げられるのは、「美容外科手術(いわゆる整形手術)」でしょう。しかし最近では、メスを入れることなく、一般の方への敷居がぐっと低くなった治療も沢山出ていますね。たとえば、シミ、シワ、たるみをとる機器「レーザー」やコラーゲン、ヒアルロン酸を皮膚に注入する「フィラー」、新しい皮膚産生を促す「ケミカルピーリング」などが挙げられます。
機器の他にも医師の診察の下でしか取り扱えない医薬品の使用も医療行為に該当します。有名なものでいえば、高い美白効果が得られる「ハイドロキノン」や皮膚の再生を促す「トレチノイン(日本では未認可)」など。ただハイドロキノンに関しては濃度が4%以下であれば医薬部外品として化粧品の販売が認められているそうです。

さらに現在ではPRP療法(自身の血小板を取り出し、しわの気になる箇所に注入する治療法)や再生医療を取り入れた治療法など様々な医療技術が日々開発されています。
上記に挙げたこれらは、いずれもダウンタイム(施術後、元通りに戻るまでの期間)が比較的少なく、一歩先のスキンケアとして気軽に試せてしまうようなもの。
しかし、然るべき医療機関で行わなければ取り返しのつかないことになりかねません!
何より大事なのは次の3つではないでしょうか。

(1)施術前にきちんと医師の診察や治療内容の説明があるかどうか
きちんとした診察のもと、治療方針をあなたと話し合いながら決定していますか?

(2)「手段」より「目的」を重視
「●●社の●●レーザー」が打ちたい!といった「手段」は医師に任せましょう。何が悩んでいるのか、どうしたいのかという「目的」を医師に伝えましょう。

(3)自分の意思をもつ
医師の経験上、様々な治療を組み合わせた方が良いと診断されるかもしれません。
しかし中には営利目的で不必要な治療を勧められることもあるようです。
きちんと自分の意思を持ち、医師と納得のいくまで話あってから治療に望むようにしましょう。

(AAN WEB編集部・小田真弓)

□■塩谷先生からのコメント■□

最近SSTが話題である。
SST?Super Sonic Transport(超音速飛行機)?コンコルドのこと?
何をいまさらと僕は戸惑った。
だが、それは“しわ、しみ、たるみ”の略称。“女性の大敵”と言うわけだ。
どうも火付け役はNHKの番組らしい。

番組では次のように最近の治療法を紹介している。
(1)しみ:レチノイン酸入りのクリームの塗布。これは昔からあるケミカルピールである。特に目新しいものではないが。
(2)たるみ:光治療だったか、高周波だったか忘れたが、いずれにせよ機器によるもの。今いろいろな機器が開発され、コンピューターの世界と同じく半年毎に新製品が登場するので、僕みたいな素人で不勉強な医師には追いついていけない。
(3)しわ:本人の血液成分や細胞の注入によりしわをなくす、いわば再生医療の分野。だが効果と安全性に関しては実験段階で、評価はまだまだこれからである。

いずれにせよ、女性にとって最も関心の高い分野だが、これまでお固いNHKはこの問題を取り上げるのを躊躇していた。
今回これを”美容医療“と言うくくりで特集したことは、取り上げ方にばらつきがあるにせよ、巷間に怪しげな情報が氾濫している今、大変意義が深いと思う。
だがこの分野は自由診療であり保険診療の枠で締め上げられている日本の医療界では、言い方は悪いが唯一旨味のある専門分野であり、しかも法律的には、医師免許を持っていれば誰でも参入できるので、イカサマに引っかからないよう、“医師選びは慎重に”と僕は警鐘を鳴らしたい。

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