アンチエイジングニュース

「子供を母乳で育てた人は、がんになりにくい」
――ハセ博士のヘルシー情報最前線(285)

母乳で子育てをすると、子供の精神的そして肉体的な発育に良い影響を与える事がよく知られています。特に、母乳に含まれている母親の免疫物質が、子供の感染症を予防するという効果は、科学的にもよく証明されています。
今回さらに母乳で子育てをすると、母親の健康にも非常に役立ち、乳がんになりにくくなることが最近の研究で明らかになりました。

研究は6万人以上を対象とした長期間によるもので、特に乳がんの家族歴のある女性は、自分の子供を母乳で育てた場合には、母乳を与えなかった母親に比べ、更年期前に乳がんになるリスクが非常に低くなるとされています。

この報告は、ハーバード大学のAlison M. Stuebe博士らが、内科医学専門誌Archives of Internal Medicine(August 10/24, 2009)に報告したものです。

研究は1997年から2005年の間に、”看護師健康調査”に参加した、60,075人の看護婦を対象としたものです。
2005年6月末の時点で、内1%、606名の女性に乳がんが発症しており、その平均年齢は46歳でした。

その内容を詳しく調べたところ、母親や姉妹などの近親者に乳がんがある場合は、授乳をおこなった人では、おこなったことのない人に比べて、乳がんになる頻度が59%も低下していることが明らかになりました。
また、ホルモン療法のタモキシフェンを服用しているような、乳がんのハイリスクの女性においても、同程度の低下が観察されたそうです。
一方、母乳による授乳をせず、また母乳を作らないようにしていた人では、乳がんのリスクが42%も高いことが低くなっていました。

以上の結果から、女性が母乳で子育てをしなかった場合には、乳房が張って固くなり、乳房組織の炎症状態が起こりやすくさせ、乳がんを引き起こすのではないかと考えられています。
そして、母乳による子育ては子供だけでなく、母親の健康に非常に役立つと結論されています。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。現在は製薬企業で研究に従事している。

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