アンチエイジングニュース

アンチエイジング医学最先端!2011 エデュケーショナルセミナー

2月15日、六本木ヒルズにて日本抗加齢医学会主催のアンチエイジング医療に関するエデュケーショナルセミナーが開催された。
このセミナーは、サイエンスに基づいたアンチエイジング医学の最新情報発信を目的としてマスコミを対象に開催されている。

『学会アップデート&レビュー』
坪田一男氏(慶應義塾大学医学部眼科学教室教授・日本抗加齢医学会広報委員会委員長)

今回のセミナーは司会を務める坪田一男教授の次のような話から始まった。
厚生労働省は、「2009年の医療費は35兆円にまで達し、7年連続で過去最高を更新した」と発表した。そして、2025年には80兆円にまで膨れ上がる予測だと報告している。医療費が増加する主な原因として「高齢化」、「医学の進歩」などが挙げられる。しかし、健康な体を保持したならば、医療費を工面する必要もない。「アンチエイジング」は個々の美容・健康面のみならず、社会経済にも影響すると熱弁をふるった。

『がんと食生活』
渡邊昌氏(社団法人生命科学振興会理事長・日本抗加齢医学会理事)

渡邊氏は栄養学の観点から、健康に効果的とされている機能性食品を、栄養学よりも医学寄りにポジティブリスト化し、「機能栄養学」と位置付けて統合医療への参入を提唱している。
この「機能性食品」には何が含まれるかというと、例えばがんの抑制に効果があるとされる抗酸化成分やフィトケミカルなど。ビタミン、ミネラルなどの基礎的な栄養素よりも一歩踏み込んだ機能をもった食品である。このような機能性を利用したサプリメントは、医療界では「補完療法」か「代替療法」の2つの考え方で捉えられている。現在、このように西洋医学を補てんするような統合医療が必要とされつつあり、渡邊氏の提唱する「機能栄養学」は、今後の展望がますます期待されると語った。

最後に、自身が糖尿病になったことをきっかけに栄養学の研究を始めたという渡邊氏に、肥満対策のための1日分適正エネルギー摂取の目安として次の計算方法を教わったので、是非参考にしていただきたい。

『不老は口から』
斎藤一郎氏(鶴見大学歯学部教授・同大学病院長・日本抗加齢医学会理事)

斎藤教授はアンチエイジングにおける口の役割についてお話された。
口は普段「食べる」、「話す」、「笑う」といった感覚器や消化器としての機能を果たしている。そしてさらに、食生活の楽しみは機能性のみならず、Q.O.Lへのかかわりが深い。

日本人の死亡要因の1位は「がん」であるが、75歳以上に限定すると、「誤嚥(ごえん)性肺炎」の死亡要因が1位になると斎藤教授は語る。「誤嚥性肺炎」とは誤って菌を肺の中に飲み込んでしまうことに起因する肺炎のことである。さらにこの疾患が起きやすい背景として、殺菌作用のある唾液分泌量の低下による「ドライマウス」が原因となることがあるそうだ。このように、口腔ケアは咀嚼や嚥下のみならず、このような全身疾患の予防にも必要であると説明した。
また、「人為的な笑顔が生み出すストレス軽減効果」や、「ふっくらした唇の女性は若く見られる」といった報告がされ、メンタル面や見た目の要素でも「口」がアンチエイジングに果たす役割が大きいことがうかがえた。

アンチエイジング医学のこれから
これから日本は人類史上経験のない、超高齢化社会に突入する。医学の進歩によって、単に「長く生きる」といった延命措置ではだけでなく、「健康に楽しく生きる」健康長寿の実現が今後ますます重要視されてくるだろう。アンチエイジング医学の最新の動向はもちろんのこと、高齢者のQ.O.L向上についてもますますニーズが増加しそうだ。

(AAN WEB編集部・小田真弓)

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