アンチエイジングニュース

「更年期に体重を増やさないためには?」
――ハセ博士のヘルシー情報最前線(251)

世界の肥満関連研究者がバンコクに集まり、肥満における性差を討議する会議が行われました。その際、とくに女性の更年期における体重増加の要因と、いかにしてそれを防ぐかということに論議が集中したそうです。

この会議の議長を務めたワシントン大学Jennifer Lovejoy博士らが、その内容を肥満研究専門誌Obesity Review(2008, Dec. Issue)で報告していますので、その中からご紹介します。

ご存知のように更年期には女性の体の活動度が急激に減少します。
そのため身体のエネルギー消費量が低下し、その分のカロリーが余分となります。

したがって食生活もそれに応じて変化させないと体重オーバーとなってしまうということになります。
すなわち、更年期女性の体重増加には、大本の原因であるエストロゲンの分泌低下が直接関係するわけです。

しかし、更年期後も適切な運動を続けている女性は、とくに体重が増えることはありません。なぜなら運動により、身体が必要としなくなったエネルギーを消費するためです。
 
またこれに関連して、ホルモン補充療法(HRT)についても討論があり、聖ビンセント糖尿病センターのLesley Campbell教授は、HRT療法が下腹部の脂肪を防ぎ、心疾患や2型糖尿病の予防に有効であると報告しています。
この研究者によると、経皮HRTパッチ療法を受けると、このような更年期による体重増加の抑制に有効であるとしています。

さらに女性の場合、更年期前には心疾患のリスクは男性よりも低いのですが、更年期を過ぎるとそのリスクは高まり、男性と同じくらいになってしまいます。
ですから、更年期の女性は食べる量を減らして、適切な運動をおこなうことが重要のようですね。

そして、この会で最も注目された更年期になぜ女性は体重が増加するかということに関しては、食生活が変わらないからだ、と結論付けられました。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。現在は製薬企業で研究に従事している。

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