アンチエイジングニュース

「カフェインは、アルツハイマー痴呆に有効」
――ハセ博士のヘルシー情報最前線(229)

ついこの前お正月だったのに、早くも3月ですね。今シーズンの新型インフルエンザもどうやら終了のようですので、一安心です。

さて、このところカフェインに関する話題が豊富です。
眠気防止や頭痛に効く事は昔から知られていますが、それ以外に腎性浮腫高血圧、そして最近では、肥満防止にもよいと評判になっています。

今回更に、カフェインがアルツハイマー痴呆を改善することが報告されていますので、その話題です。

この報告は南フロリダ大学
Gary Arendash氏らが、
アルツハイマー病専門誌
Journal of Alzheimer’s Disease (2009, July 5 online edition)に発表したものです。

1日500mgのカフェイン(コーヒー約5杯分;ヒトの体重に換算した値)を、毎日アルツハイマー痴呆症状を呈したマウスに与えた所、症状が大幅に改善することが分かりました。
そして2ヵ月後には、このマウスは痴呆症状の無いマウスと同等の記憶力にまで戻ったそうです。カフェイン摂取マウスを詳しく調べた所、アルツハイマー痴呆の原因と考えられているベーターアミロイド蛋白の血液中レベルが、約半分に低下していることが明らかになりました。

この研究者らは「ベーターアミロイドを作り出す脳内の炎症を、カフェインが抑制する」事がその理由と考えているようです。
また人を対象とした研究でも、高齢者のベーターアミロイドをカフェインが下げることをこの研究者らが報告しています。
ちなみに1日カフェイン500mgの摂取量について、通常は問題を起こさない量ですが、高血圧の人や妊娠中の人では注意が必要です。

いずれにせよ今回の発見は、カフェインがアルツハイマー痴呆の治療のひとつとなりうることを示している訳で、今後の進展に期待されます。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。現在は製薬企業で研究に従事している。

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