アンチエイジングニュース

「女性は食べ物の誘惑に弱い。」
――ハセ博士のヘルシー情報最前線(221)

昔から、女性の方が男性よりも食べ物に対する欲求が強く、
誘惑に弱いといわれていました。
特に、甘いものの魅力には・・・。

さて、最近の研究でも女性は男性よりも食べ物に対して弱く、
ダイエットも成功しにくいことが確認された
、という話題です。
これは、ニューヨークにあるBrookhaven国立研究所のGene-Jack Wang博士らが、
米国科学アカデミー紀要Proceedings of the National Academy ofSciences(2009, Jan. Issue)に報告したものです。

研究では男女ボランティアを空腹状態におき、脳の画像診断を行って、男女の脳の活動性の違いや食べ物の影響などについて調べました。

先ず、23名の健康でスリムな体系のボランティアを17時間絶食状態におき、その後にベーコンエッグサンドイッチ、ハンバンガー、アイスクリーム、チョコレートケーキなどの彼らの好物の食事を与えました。ただし食事そのものを摂ることはダメで、食事とは関係ないことを考えることにより、空腹を我慢するように要求したのだそうです。(ボランティアと言え、かわいそうな実験ですね。)
次いでこれらの人の脳の活動を、ポジトロン放出断層撮影装置(PET)を用いて分析しました。

その結果、男性の場合には空腹を抑えようと努力しているときには、食欲を司る脳領域の活動性は低下することがわかりました。
ところが、女性の場合にはこのような脳の変化は起こらず、脳の活動は継続して活性化したままだったのだそうです。

研究者らは、女性の場合は男性に比べてダイエットに失敗する傾向が強いのは、この脳の働きをコントロールすることができないためであろうと結論しています。
そしてその結果、女性では男性よりも肥満率が高くなり、摂食障害などの疾病が起こりやすいことと関係しているのではないかと推論しています。

ちなみに英国保健省によると、英国成人の60%が肥満気味で、25%は健康に問題を起こすほどの肥満なのだそうです。特に英国女性は、BMI値が40を超える病的な肥満が多いということです。なお、ご存知のように、正常なBMI値は20-25ですよね。

このように、女性の脳は食物に対する欲求が強いように設計されているようですので、皆様あまり激しいダイエットは避けられた方が賢明のようです。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。現在は製薬企業で研究に従事している。

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