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「肥満の人は、味覚障害!?」――ハセ博士のヘルシー情報最前線(207)

肥満は糖分の取りすぎと云うのは常識ですが、今回、甘いものを食べ過ぎると舌の味覚が麻痺し、その結果肥満が起こることが、ラットを用いた実験で明らかになりました。

これは、ペンシルバニア医科大学のAndras Hajnal助教授らが、神経生理学誌Journal of Neurophysiology(2008, Nov. Issue)に報告したものです。
研究ではモデル動物としてラットを用い、痩せ型で健康なラット(LETO種)と、肥満ラット(OLETF種)との味覚反応を比較しました。

ラットがどのような味覚を感じているかを調べるために、脳に電極を差し込み、食塩水、クエン酸、ただの水、および6種類の異なる濃度の砂糖水を与えたのだそうです。その結果、糖分を与えた時に、味覚と脳の中枢を結びつける神経細胞である、橋網様体(PBN)と呼ばれる脳領域が特に変化することがわかりました。
そして、LETOラットとPLETFラットを比較すると、肥満系ラットでは砂糖液を飲んでいる時には約50%神経ニューロンの活性が低下し、肥満ラットは砂糖に対する感受性が低下していることが明らかになりました。

また、肥満ラットではやせラットと同様の神経の活性が起こるには、より高濃度の砂糖水が必要だったということで、やせラットに比べて味覚が麻痺していると言うことです。そして、味覚が鈍感となったラットは、日ごろから甘みの強い食べ物を好み、肥満傾向が高まり、次いで糖尿病が発生したそうです。

通常、糖分を十分に摂ると、脳はあまり食べ過ぎるなとか高カロリー食を控えよ、という命令を出します。しかし、このような調節がうまく行かないと、糖分を摂りすぎ、やがて肥満を生み出すことになります。実際、肥満の人について調べた研究でも、体重が増えるにつれて、脳に喜びを与える神経伝達物質である脳のホルモンのドーパミンの分泌量が低下することが報告されています。即ち、肥満体型の人は甘さに鈍感で、やせた人よりも甘みの強い食事をする傾向があります。 肥満防止には味覚を鋭敏にしておくことが重要という訳ですね。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。現在は製薬企業で研究に従事している。

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