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「ニンニクは、I型及びII型糖尿病の改善に有効」
――ハセ博士のヘルシー情報最前線(205)

ご存知のように、ニンニクは3500年前以上も前から栽培されている、スタミナ食の代表です。古代エジプトのピラミッド建築に従事した人々もニンニクをよく食べており、厳しい労働による疲労・感染症等の予防や治療に欠かせないものでした。また、日本最古の医学書といわれている「医心方」(994年)にも、ニンニクを使用した処方箋や効能が多数紹介されています。

さて、このようにニンニクの効果は古来からよく知られていたのですが、今回改めて、I型及びII型糖尿病の治療に有効であることが、王立化学協会誌メタボロミクス誌(Metallomics, 2009 DOI: 10.1039/b815384c;論文タイトル:Glucose lowering activity by oral administration of bis(allixinato)oxidovanadium(IV) complex in streptozotocin-induced diabetic mice and gene expression profiling in their skeletal muscles. Makoto Hiromura et al.)に報告されました。

日本人研究者の、鈴鹿大学医学部のHiromu Sakurai氏らが見つけたもので、I型糖尿病マウスに経口投与したところ、血液中のグルコースレベルが大幅に減少することがわかりました。使用したニンニクは、ニンニクに多く存在するアレキシン(allixin)からなる薬です。今までの研究で、このバナジウムとアレキシンからなる製剤は、注射剤として使用すると糖尿病の改善を行うことがわかっていたのですが、今回の研究で、経口摂取でも有用であることが示されたことになります。

ご存知のように、インシュリン依存性のI型糖尿病は、インシュリンを毎日注射することにより治療が行われています。しかし、インシュリンの注射は面倒であるばかりでなく、急激に血糖値が減少して思いもかけない副作用が生ずることがあります。そこで、この研究者らはインシュリンなどの注射によらない治療法、特に経口投与での治療の可能性を探っていました。そして今回、このニンニク製剤が、経口投与によっても糖尿病の改善に有効であることが示されたわけです。

今のところはマウスを用いた動物実験の段階なのですが、今後は人を対象とした研究を行う予定ということで、その成功に期待するところ大です。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。現在は製薬企業で研究に従事している。

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