アンチエイジングニュース

「お化粧で、心と身体を癒す」――ハセ博士のヘルシー情報最前線(196)

 お化粧をする際、明るい色のメークをすると気分が華やぎ、まゆをしっかり描けば気合が入ります。
 最近、脳科学など科学的手法によって、これらの化粧の効果が分かりつつあります。
 そこで、化粧品各社によって続々と発表されている成果をお知らせします。

1)シニア層の脳機能を活性化
 a) ポーラは、スペインで開催された国際的な2008年度化粧品関連学会で、「高齢者向けに開発したファンデーションでメークを行ったところ、脳機能が活性化した」という研究成果を発表して話題となりました。
 b) 繊維メーカーの帝人は、特殊繊維を応用した粉体を使い、シミやシワを見えにくくするファンデーションを開発しました。それを使って認知症の注意レベルにある高齢女性(平均77歳)11人を対象にメーク前後の脳波を測定したところ、メーク後にα(アルファ)波の流れが滑らかになり、脳機能が活性化したということです。そして、化粧による喜びが高齢者のQOL(クオリティー・オブ・ライフ=生活の質)向上に役立つとしていいます。

2)化粧により精神面を改善する”セラピー・メーク”
 アザや傷跡をうまくカバーして、精神的に前向きになれるような、高度な化粧テクニックや専用化粧品の開発も進んできています。手術や医薬品ではなく、”化粧の力”で精神面でもプラス効果を生むというもので、”セラピー・メーク”とも呼ばれているそうです。
 1966年から、傷などをカバーする医療用メークの研究を長く続けてきたカネボウ化粧品は2007年、脳科学の見地から研究に取り組み始めています。
 その結果、脳の認知活動に化粧が影響を与えることを証明でき、更に他人との良好なコミュニケーションの助けとなっていることが明らかになったそうです。

3)医療を補完する化粧品
 資生堂は、肌の色素が白く抜ける白斑やアザなどをカバーするメークのアドバイスを行う専用施設「ソーシャルビューティーケアセンター」を本社ビル内に構えています。
 2006年の開設以来、800人以上が利用し、施設も拡張しつづけているそうです。
 このセンターでは、特殊な凹凸に対応するファンデーションなど、セラピー・メークのために開発した化粧品を用いて、専用スキルをもったスタッフが技術指導を行っています。

 
 お化粧と言えば、今までは美容が中心でしたが、今後は治療向けなどの新たな分野へも広がることが期待されます。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。現在は製薬企業で研究に従事している

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