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「アンチエイジングの専門家がナビゲート」(ガイド:熊本悦明

男女の更年期症状を調査分析した結果をお知らせする

 

§更年期障害症状は男も女も同じ!
 男女の更年期症状を調べるため、前回説明した更年期症状のチェック用質問紙による調査を行いました。
 その結果から、男女の更年期症状をよく分析してみますと、面白いことに、性機能低下のパターンは男女別ですが、その他の臨床症状群の内容は、全く同じ様な症状なのです。
 更年期症状が、男女同じと言うと、かなり皆さんに不思議がられますが、同じ質問紙で行った疫学調査成績を、示しておきます。

特に訴えを持たない健常男女群に於いてもある程度の軽い症状はあるので、私が同じ質問紙で調査を行い、症状の年齢的変化をまとめたものです。驚かれるかも知れませんが、下図のように、男女とも群としての得点の推移は、殆ど差がありませんでした。

 ただ女性では50才前半、男性では50才後半に、どの症状でも、軒並みにそれぞれやや高値となり、ピークを作っていることが示されております。この時期が更年期障害の症状が強く出る時期であり、そしてピークの時期は男女で5才の開きがあります。この図での所見は、いろいろ臨床的に示唆に富んだ、意義深いものといえます。
 なにはともあれ、更年期症状には男女ともに性ホルモン低下と心理的ストレスの影響の2つの原因が折重なって関与していると考えられております。

 ただ、図に示します様に、両因子の比重が男女で差があり、性ホルモン低下度は女性の方が強く、心理的ストレスの影響は男性の方が強いと考えられます。しかし両者が複合した形になって加わる作用力は、男女で同じ程度になる為に、上図のような症状重症度分布になるものと考えております。

 この解釈には、一度厳しい反論を女性側から受けました。W大学で講演した後、聴いて戴いた年配の女性教授の方から「女性といえども私のように社会的に男性並みに活動していると、精神的なストレスはかなりなもので、男性と同じですよ。管理職にあるその年齢の女性達を詳しく調べて見て下さい」と言われてしまいました。確かに未だに男性の多い社会生活での女性活動家のストレスは大変なのかもしれませんが、そのような方々をまとめて統計を取ることは、具体的には集計するのが極めて難しいので、残念ながらよほどの協力がなければ、まだ出来かねているところです。ただ女性の方が案外男性より周りを気にしないで、堂々とやっていて、ストレスは少ないのではという意見もあり、男女差を検討出来たら意義深い知見になると思っております。

 もうひとつ、これは、特に強い自覚症状のない通常生活を一応行っている男女のデータなので、更年期障害症状を強く訴えで病院を訪れた男を検討してみると、有症状群での症状の強さに差があるかどうかは今後分析したいと思っております。ただ統計はまだですが、感じとしては、有症状群では、上図からもわかるように、女性は身体症状、男性は精神神経症状が強い様な印象がありますが、これも今後検討してみたいところです。

 色々あるにせよ、男性医学の立場からいって、男にも月経閉経の様なエピソードがなくとも、ほぼ明確に、女性と同じ様な更年期障害症状があることが示されているといえます。そして月経閉経のような強い内分泌的体調変化がない分、それを補う様に、仕事などによる強い心理ストレスが要因にあり、それが百年も前から疑問視されてきた閉経のない男性に、何故女性と同じ様な更年期症状がでるのかという問題の答えとなっているといえるのです。

 ここで注目すべきは、図に示した更年期症状が強く出るピークが男女で5才の差があるという事です。
 丁度現在この50才代にある団塊の世代で結婚している方々に更年期症状が強く出る時期は、約5才前後の差があるのです。夫婦の年齢差は、50才より上の世代の人々は数才であり、より若い世代では同年に近いと言う資料も別にありますので、この所見は、団塊世代のカップルは、丁度同じ頃一緒に更年期障害に悩まされるものであることを示唆しており、更年期障害問題は社会的に重要な医学的テーマではないかと思っております。
 今までの色々な調査によると、夫婦間で、お互い自分が更年期症状で苦しんでいるのにパートナーの理解がなく辛い思いをしている、という訴えがかなりあります。この調査成績からすれば、“同病相憐れむ”ではないですが、お互い、ともに理解し、助け合い協力しあって頑張り、豊かな華のある熟年期へと進んでいって頂きたいと願っております。

>>>『男をもっと知って欲しい』バックナンバーはこちら

 

筆者の紹介

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熊本 悦明(くまもと よしあき)

日本Men’s Health 医学会理事長
日本臨床男性医学研究所所長
NPO法人アンチエイジングネットワーク副理事長

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