アンチエイジングニュース

「アンチエイジングの専門家がナビゲート」(ガイド:熊本悦明

男の生理についてさらに続けよう

 

§男には、もう一つ精子形成という大変な生理がある
 女性に女性性と母性があるように、男にも男性性と父性とがあります。ただ母性・父性というと、一般的に文化的立場から、子どもに対する父母としての愛情のような感を受け取られがちでありますが、生物学・医学的に言えば、もっと原則的な子供を創り得る能力を指しているにです。
 男性たるもの、男の生理を確立した上で、生き物としての使命を果たすべく生殖機能を成熟させ、生命の伝承という役割を果たさねばならないのです。最近は、世の中が可笑しくなり、私は子供を創る為に生まれたのではないと言う若い男女が増えてきたり、子供を2人創ったので責任を果たしたと言った総理大臣が強く非難されたりする、極めて脱生物的に異常な、超文化的感覚が常識として広がる変な時代なってしまっていますね。どうも人々は自分が生き物であることを忘れ始めているようです。文化的人権だけで、人類は生き残れないのに、甘えているわけです。
 いずれにせよ、男も女の身体的に生殖能を完成させて、一人前の生き物としての人間になるのです。自分自身における、その生殖能の確立に関して、男女で全く反対の立場を取っているのです。此れが、基本的な男女の性差であり、また日々の無意識な生き方全体のあり方の”基本的・さらに言えば生物学的な宿命的違い”でもあるといえます。時には、それが正規分布の裾に例外的に大きくずれる人もいるでしょうが、大筋では、この生物学的性差は、如何に進んだ文化と言えども絶対に曲げられないものであります。むしろそれをお互いに意識し、よく理解していくことで、幅広い社会を形成し生きていくことが、それこそ進んだ文化であり、当にいま流行の”本当にお互い等身大に生きる道”であると言えます。
 
 では、先ず、どのように男女で違うのかを、しっかり考えてみたいと思います。いま楽しげにコーヒーを飲みながら会話をしている若い男女がいるとして、二人の身体の中で、お互い生き物として何が起きているでしょうか? 想像したことがありますか?
 結論から先にいうならば、生物学的眼鏡を通して眺めると、男性の身体の中では、一秒に600の元気な精子を懸命に生産し続けているのに反し、女性の身体の中では、数個の未熟卵子をゆっくり目覚めさせて、その中で一番早くしっかり成熟でき月に一度の排卵に備える一個の卵子選びをゆっくりやっていると言うことになるのです。この”動と静の生物学的生理の違い”の背景が、色々な形で夫々の男女の日々の生き様、姿勢に影響し,その楽しい会話の裏側にも潜んでいることは、曲げられない事実なのです。
 さらにもっと大事なことは、脳における視覚・空間能や言語能など、かなり個人差はあるにしても、男女の性差があるのも事実なのです。女性学者の中には平等主義からその性差を何とか否定しようと懸命に論を張る方もおられますが、性差のあることは否めない事実なのです。また逆に男女大きく違うことは経験意的また感覚的に認識しているが、どこがどのように違うのか知りたいと言う方も少なくないように見えます。そこで、現代医学生物学で明らかになりつつある性差の内容を、このシリーズでおいおい、なるべく客観的に説明し検討していきたいと計画しておりますが、医学的・心理学的の極めて面白い問題であると感じております。
 いずれにせよ、そんなことを考え、強いて言い募るのは、男女同権平等時代に全く野暮の骨頂と一蹴されるかもしれませんが、否定できない事実を無視することは出来ないし、仕方がないことではないでしょうか? 近代医学が明らかにした事実に、敢えて風呂敷を大きく被せて、ただ文学的・人権的ムードに酔う勝手よりは益しであろうと思っております。
 それを、現代科学的に正しく男女で認め合った上での、お互いの関係をどう現代的な対等感覚で纏めていくかが、今世紀の医学・文化の命題と言えると思います。古来の思想史や文化論が、今や現代医学に知識を大きく吸収して、変革すべき時にあると言えます。

 そこで取り敢えず、先ず卵子と精子問題から説明していくましょう。

 先ず卵子の行き方を説明してから、精子の生き様のそれとの違いを見てみたいと思います。
 女子は始めに700万個の原始卵胞を持ってスタートするとされておりますが、それを除々に減らし、出生時では100万個、小児期には30万個、思春期でいよいよ排卵が始る時は16万個にまで減数し、30歳台になると5万個になることが明らかにされております。その減数が自然淘汰なのかは不明ですが、かなり選ばれた原始卵胞のうち、毎月数個が選ばれ排卵に備えて成熟し始めるのです。そしてその中の一つが機序は判りませんが選ばれて系塾を完成して卵子として排卵するのです。そして排卵するのは、一生で300から400の極めて僅かな卵子だけになるのです。そういえるかどうかは神ならぬ身でなんとも言えませんが、勝手な感想から言えば、排卵される卵子は、卵巣の中での長い戦い(?)の中で、700万個の原始卵胞に中から厳しく選ばれ生き残った勝者と言えないでしょうか?

 一方男子では、精巣に中の多数に細い精細管の中のセうそ細胞が減数分裂も含めた分裂を繰り返し35日掛けて成熟精子のなってくるのです。

 

 その精子の一日生産率は5000万で、一秒580個(約600個)という物凄い数字になっている。そしてそれが精嚢腺に貯められて射精されるが、一回の射精数は幅が大きいのですが1億前後となります。一生での精子産生数は、数千億にも達するわけで、当に膨大な数になると言えます。
 そしてそれらの精子の生殖の機会はあくまで射精されてからの、女性性器での環境内での自力での生き残り力に関るわけで、極めて厳しい条件を生き抜き且つ激しい競争に打ち勝たねば授精できないと言う、精巣を離れてからの外部での生き抜く力が試されると言う宿命を持っているのです。前述したように卵子は、卵巣と言う家の中での選択を生き抜いて排卵され、生殖のチヤンスを?みます。一方、精子は精巣と言う家を飛び出してから、忍耐と闘争を生き抜いて生殖のチヤンスを?みをつかむ訳です。
 この様に、男女で生き抜き力を発揮する環境条件が極めて象徴的に異なる訳で、求められているものが完全に異なると言えましょう。当に此れは、男女の日常生活での条件にも当てはまるもので、全く基本的な生物学的環境でも、文化的に日常生活でも、同じパターンの宿命の下に置かれているといえます。 ここに、男女の生物学的性差の根源があると感ぜざるを得ません。

 図は”おたまじゃくし”の様な精子の姿を顕微鏡で拡大した写真です。この精子群が元気よく尾を振りながら群れをなして泳ぐ姿は、まさに壮観でと言えます。私は男性医学者として顕微鏡を見ながら、この何気ない泳ぎまくる精子群に生き物・男の姿ありと常に感じております。卵管に排卵されてじっと待つ卵子に競争しながら、膣から精子にとって何千里の険しい道のりを我武者羅に泳ぎあがっていくその活力に男の力強さとがロマンを見る思いがしております。この”卵子の静と精子の動”にこそ、男女の性差のシンボル的生物学的サインがあるといって過言ではありません。

 

>>>『男をもっと知って欲しい』バックナンバーはこちら

 

筆者の紹介

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熊本 悦明(くまもと よしあき)

日本Men’s Health 医学会理事長
日本臨床男性医学研究所所長
NPO法人アンチエイジングネットワーク副理事長

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