アンチエイジングニュース

「アンチエイジングの専門家がナビゲート」(ガイド:熊本悦明

母親から生まれる以前の自分は何であったのか

 

§“汝未生以前の声を聞け”
 この命題は、禅宗で座禅を組む時に沈思黙考しながら悟りを開く為に考える難しい“公案”の一つとしてかなり有名な設問です。要するに、母親から生まれる前の自分に何であったかに思いを致し、現在の自己のあり方の基本を見出しなさい、という大変な命題なのです。
 これは宗教的にも人生哲学的にもかなりな難問といえます。実は、これは筆者が若かりし旧制高等学校時代に(今の高校2~3年の頃)、鎌倉円覚寺に参籠した時、管主の朝比奈宗源泉先生からいただき、考えあぐねた命題なのです。実は今もなお、その答えは出せないでいる難問です。
 ところが、その様な宗教・人生哲学の難問でも、生物学的・医学的には、この2D/4D比を見ることで、前述の様に、或る程度母体内の男性ホルモンシャワーの程度と、それによる自らの生物学的条件を推察することが出来るという、個人の男性化度を勘案することが可能になりつつあります。これは極めて興味ある話で、自分の生物学的成り立ち、“未生以前の声”を聞けるようになって来ているといえます。かつての円覚寺の参堂で苦吟したことを思い出しながら、自分の手を眺め、感慨の思いを深くしているところです。

 閑話休題:この人差し指(2D)/薬指(4D)比にまつわることで大変面白い経験をしております。
 男性の方に、この2D/4D比の所見から「mildな優しい性格なのですね」。女性の方に、「大分勝気な元気な性格なのですね」。こんな判定を下すと、意外に戸惑った様な表情になることが屡あるのです。どうも、俺は強く男らしいのだ、私は優しい女らしい筈だ、と信じているのに、という違和感を現わす人がかなり多いのにやや驚きを感じています。世の文化的流れも色々変わりつつある今、男女とも、昔のイメージでない男として女としての在り方を良しとしている様になっているのではと信じていたのに、実はやはり心の中では、“強い男、優しい女”のイメージを文化的にしっかり抱いているのではと感ずる機会が少なありません。やっぱり男性たる者強くあるべし、女性たるもの優しくありたいということは、普遍の真理なのかもしれませんね。

 

>>>『男をもっと知って欲しい』バックナンバーはこちら

 

筆者の紹介

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熊本 悦明(くまもと よしあき)

日本Men’s Health 医学会理事長
日本臨床男性医学研究所所長
NPO法人アンチエイジングネットワーク副理事長

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