アンチエイジングニュース

 日本はもちろん、世界中の先進国では寿命が大幅に延びてきましたね。
 栄養の改善はもとより、抗老化のための色々な研究が功を奏していると思います。
 特に最近の研究で、抗酸化物質が老化防止に重要であることは、常識となりました。
 そこで今日は、抗酸化物質のビタミンEが高齢者の体力維持にも強く関係しているという話題です。

 これは、エール大学医学部 Benedetta Bartali博士らが、米国医学協会発行のJournal of the American Medical Association(2008, January 23 issue)に報告したものです。

 研究は、イタリアフロレンス近郊に住む65歳以上の698名を対象とした調査で、これらの方から血液サンプルを採取し、葉酸、鉄、ビタミンB6、B12、D、Eを測定しました。
 そして、これら参加者の歩く速さ、椅子の繰り返しの上り下り、立位バランスなどの体力測定を3年間にわたって調べました。

 その結果、血液中のビタミンEレベルが体力測定成績と強く関連しており、ビタミンEレベルが低い人の体力は、高い人に比べて1.62倍早く体力低下が起こっていることがわかりました。

 エネルギー摂取量や他の栄養素のレベルには変化が見られず、ビタミンEレベルとのみ強い相関が見られたことから、ビタミンEの適切な摂取は高齢者の身体機能の低下を予防すると結論しています。
 なお、この研究ではビタミンEサプリメントを摂っていた人は僅か1名だけだったので、サプリメントの服用が効果があるかどうかは分からないようですが、サプリメントや食品などからも多く摂れば効果があることを示しています。

 ビタミンEは抗酸化物質として、身体の機能の低下をもたらす体内のフリーラジカルの発生を防ぐといわれています。
 また、筋肉やDNAダメージを抑制し、動脈硬化などの発生を予防することもわかっています。
 これらの効果が総合して身体機能の低下を抑制すると考えられますので、皆様大いにビタミンEを摂るようにしましょうね。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。現在は製薬企業で研究に従事している

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