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「カレーがアルツハイマー痴呆に有効」――ハセ博士のヘルシー情報最前線(169)

 カレー粉に含まれる成分が、アルツハイマー痴呆の原因とされている、脳のプラーク斑点を取り除く効果があることがわかりました。

 今回の研究は、米国科学アカデミー会誌(Proceedings of the National Academy of Sciences, 2007, July 16)にLos AngelesのDavid Geffen School of Medicineらの研究者が報告したものです。
 ちなみに同様の報告は日本の研究者も行っていますので、2つを同時にお知らせします。

 実は今までも、アルツハイマーへのなりやすさと、カレーを食べることに、なんらかの関係があるのではないかといわれていました。
 実際、米国では人口の約25%の人がアルツハイマー痴呆になるのですが、インドではその頻度は1%と非常に低いことが知られています。
 そしてこれは、カレー粉をよく食べるからではないかと言われています。

 そこで、カレー粉に含まれるターメリックに目をつけて、脳のプラーク斑点の基であるアミロイドベータたんぱく質を分解する成分を探したところ、クルクミンの一種であるビスデメトオキシクルクミン(Bisdemethoxycurcumin)が有効なことがわかりました。

 アミロイドβ蛋白を分解する、免疫細胞のマクロファージの作用を促進させるのが、その作用機構ということです。

 この米国の研究チームは、このアミロイドたんぱく質の分解プロセスに、免疫システムのキーとなるMGAT III 及びToll-like レセプターと呼ばれる遺伝子も関係している事を見出しています。

 そしてこれらの発見は、アルツハイマー痴呆における免疫システムの役割に新しい知見を与えるだけでなく、今後の治療に向けての重要な発見であるとしています。

 さて、今回の発見は確かに興味深いことなのですが、実は以前にも日本の科学者も同様にカレー粉ウコンに含まれるクルクミンが、アルツハイマー病の原因となる物質の生成を防ぐ効果がある事が報告されています。

 これは、金沢大大学院の山田正仁教授らが述べているもので、アミロイドベータタンパク質にクルクミンを加えると、神経細胞が守られることを確認していました。
 また、赤ワインに含まれるポリフェノールや、ハーブのローズマリーでも同様の効果が得られるそうです。

 カレーは私の大好物の一つです。カレーライス、カレーうどん、カレーパン、何でもOKです。
 さて将来、私がアルツハイマーになる確率は???

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。現在は製薬企業で研究に従事している

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