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葛の花エキスに肥満防止効果
「葛の花エキス」

イソフラボンやサポニンも含有 注目される花のエキス
内臓脂肪がたまってしまうという“メタボリックシンドローム”は、現代人にとって今最も気になるキーワード。例えわずかな危険因子でも、複数存在することで、虚血性疾患や心疾患の危険度が倍増します。毎日の生活の中で、充分に予防を心がけておきたいですね。

まず予防の基本となるのが“肥満予防”。こまめに体重を計測することが重要ですが、その際にBMI(Body mass Index)の数値は基準のひとつになります。日本肥満学会では、標準のBMI値を22とし、25以上を肥満としていますので、それをひとつの指標にできるでしょう。

そして、このBMI値を低下させる作用を持つ素材として、今注目を浴びているのが「葛の花エキス」です。葛の花の部分から抽出したエキスに、BMIや体脂肪を低下させるというデータが次々に発表されているのです。葛はマメ科の植物で、日本から中国、東南アジアに分布し、日当たりのよい山野に生育しています。半低木性のつる性植物で、乾燥させた根が漢方薬の原料として使用されており、葛根(カッコン)の名でも知られています。また日本では、根から抽出される澱粉が、葛餅や葛きりとして食され、古くから親しまれてきました。

この葛の花から抽出されたエキスに、肥満に対する有用性が確認されたのです。主に7種類のイソフラボンと3種類のサポニンを含有しています。

内臓脂肪の蓄積を抑制 マウス実験でも有意性を確認
葛の花から採れるエキスに内臓脂肪蓄積を抑制する作用があるというデータは、日本生薬学会(2007年9月開催)で発表されました。メタボリックシンドロームといわれる諸症状を持つマウスを使い実験が行われ、有意なデータが確認されたのです。

実験では、葛の花エキスを含有した飼料をそのマウスに自由に食べさせ、体重および内臓脂肪・皮下脂肪重量を継時的に測定しました。

また、1ヶ月毎に血液検査を、2ヶ月後に糖負荷試験と血圧測定などを行いました。結果を、葛の花エキスを含有しない飼料を食べたマウスと比較したところ、内臓脂肪蓄積の抑制傾向を示し、さらには体重増加および皮下脂肪蓄積に対しても抑制傾向を示したのです。

結果はグラフのとおり。葛の花エキス1%含有の飼料を食べた群と、同3%含有の飼料を摂取した群とを比較しても、3%含有の群の方が有意に低下。内臓脂肪の蓄積を葛の花エキスが抑制しているということが確認できます。

実験に使用されたマウスの内臓脂肪重量の推移

ヒト試験でもBMI低下
さらに研究は進み、ヒトの試験においてもBMIや体脂肪への影響が検証され、その結果は日本肥満学会(2007年10月開催)において発表されました。

ヒト試験は、20歳以上65歳未満の成人男女のうち、BMIが24以上、且つ胴囲が男性で85cm以上、女性で90cm以上の男女59人で実施されました。

期間は8週間。それぞれ4群に分け、葛の花エキス300mg、200mg、100mg、また対象食品を毎日摂取し、測定を行いました。なお、期間中は毎日の食事を、男性で2,650kcal、女性で2,300kcalを超えないように指導。

その結果、葛の花エキス300mg摂取群において、BMIや体脂肪の数値が著しく低下していたと発表されました。さらにCTスキャンの解析で、全体脂肪面積と皮下脂肪面積の変化を見ると、300mg摂取群が最も低下していました

マウスの実験データは、ヒトにおいてもほぼ同様の効果を表すということが示唆されており、今後の研究結果にも期待されているところです。

甲斐 久美子(医療・美容ライター)

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