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「体重が減らないのは、自分の意志が弱いためではない。」――ハセ博士のヘルシー情報最前線(159)

 簡単に体重は増えるのにも拘わらず、下げようとしてもなかなか思い通りにはなりません。
 つい甘いものに手が出たり、運動が続かないといった意志の弱さもさることながら、どうもそういう次元ではなく、もっと人間の本質的なものから来ているらしい、という話題を紹介しましょう。

 最近の研究で、人間の身体には、体重低下が起こることに対しては強く抵抗する機構が元々備わっているのに対し、体重増加を抑える機構はなさそうな事が分かりました。

 これはクイーンズランド大学生物医学研究センター(Institute of Health and Biomedical Innovation (IHBI))のNeil King博士らが、ブリスベンで開かれた世界肥満会議で発表したものです。

 研究では、肥満の人を対象に、次のような2つの実験を行いました。
 最初の実験では、30名の肥満男女に12週間にわたって、週5回研究室で運動をしてもらいました。
 また第2の実験では、200名の男性に町でよく見られる運動や食事制限による体重減少プログラムを行ってもらいました。
 この2つの実験の違いは、前者ではエネルギーの消費は運動だけなのに対し、後者では運動と同時に食事制限を追加した点です。

 そして、8週間後にこれらの参加者の体重を調べたところ、最初の実験では、実験開始後には約3kgの体重減少が見られましたが、その後は4週間経っても僅か0.7kgしか体重減少が見られない“プラトー”の状態となる事が分かりました。

 また第2の実験でも、用いた方法によりその体重減少のパターンは異なっていましたが、やはり一定値になると“プラトー”となり、体重減少は一定以上には起こりにくくなっていました。

 以上の結果から、例え長期にわたるエネルギーの抑制を行っても、体重が一定値以下にならないようにする“プラトー効果”が、人間には備わっている事が分かったという事です。

 また、我々の身体にはそのような体重が減少に対しては強い抑制機構がある一方で、体重増加に対してはそれを抑制する機構はなさそうだそうです。

 人の身体は“飢餓”に対応する遺伝機構が予めプログラムされており、例え食べる事が出来なくとも体を維持する能力がありますが、残念ながらそれは現在のような運動不足の生活や食料過多の環境に対して用意されたものではないので、体重の増加に対しては抑制出来ないのだそうです。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。現在は製薬企業で研究に従事している

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