アンチエイジングニュース

「DNAダメージを修復できないと、老化が早くなる。」――ハセ博士のヘルシー情報最前線(153)

 エイジング(老化)のおおきな原因として、紫外線によるDNA障害がよく知られています。
 実際、漁師さんや農夫の方など、紫外線を多く含む太陽光に曝される人は、実年齢よりもはるかに年をとって見えます。

 しかし、人体には紫外線でダメージを受けたDNAを修復する機構があり、通常はそれが働いてダメージを取り除く事が分かっています。

 今回、このDNAダメージを取り除く機構が失われると、老化が非常に促進される事が実証されました。

 これは、世界で最も権威のある科学誌ネーチャー(Nature, Dec. 21, 2006; vol 444: pp 1038-1043.及び. Dec. 21, 2006; vol 444: p 1015.)に、ピッツバーグ大学Laura Niedernhofer博士、及びオランダ・ロッテルダムErasmus医学センターのJan Hoeijmakers博士らが報告したものです。

 研究では、先ず、早老症(progeria)と呼ばれる、若くして老化が極端に早く進む遺伝病の患者さん(15歳のアフガニスタン男子)を調べました。

 この少年は日光に対して極端に感受性が強く、10歳頃から顔面がシワだらけの老人のような風貌となっていたそうです。

 そして、耳や目も老化が進んでいて、全身に老化によるやつれがみられ、さらにA型肝炎ウイルスや結核にも感染し、残念な事に16歳の時、肺結核と多臓器不全により死亡したそうです。

 そこでこの少年の遺伝子を調べたところ、DNA障害を取り除くのに必要な遺伝子であるXPR遺伝子に重大な変異が生じている事が分かりました。

 次に、この知見を基に、マウスをモデルとして、老化の条件について検討しました。
 XPF遺伝子を欠損させたマウスを作り、その老化速度を調べたところ、老化そのものは特には早くはなってはいない事が分かりました。

 ところが、このXPF変異マウスに紫外線をあてると、老化速度が速くなる事が確認されたそうです。

 すなわち、XPF遺伝子の欠損だけで老化が早くなるのではなく、XPF遺伝子の欠損と共にDNA障害が起こることが、老化促進に重要であることが判りました。

 紫外線などによりDNAがダメージを受けると、通常はXPR遺伝子によりそのダメージが除去されるのですが、XPR遺伝子が欠損している場合にはDNAダメージがそのまま残るようになり、老化が促進されると考えられるわけです。

 同様に、紫外線によるダメージがある程度以下ならば、身体に備わっている修復能力によりダメージが取り除かれると考えられるのですが、修復能力以上の大量の紫外線を浴びた場合は、そのダメージを回復できず、老化が促進されるものと思われます。

 すなわち、単にお肌のシミを防ぐのが目的だけでなく、身体全身にあたる紫外線対策をなさるのが、老化対策には重要と思います。

ハセ博士=薬学博士。国立大薬学部や米国の州立大医学部などで研究や教官歴がある。現在は製薬企業で研究に従事している

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