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女性の魅力的な表情をつくるホルモン――ハセ博士のヘルシー情報最前線(76)

 ご存知のようにエストロゲンは女性ホルモンの一種で、エストロゲンの分泌が女性の性周期(月経)を決めており、女性が女性であるゆえんはこのエストロゲンによるといっても過言ではありません。

 最近の研究によると、エストロゲンのレベルは女性自身の身体内部だけでなく、外観や表情にも現れ、エストロゲンのレベルが高い時に女性はより魅力的になる、という全女性の気になる話題をお送りします。

 これは、セントアンドリュー大学Miriam Law Smith氏らのグループが、Royal Society誌(2005, Nov.)に報告したものです。

 研究では、18歳~25歳までの59人の若い女性の顔の写真を何枚も撮り、写真を撮った時の血液中のエストロゲン量を測定しました。次いで、男女15人ずつ計30人のボランティアにその写真を見てもらい、最も魅力を感じる顔についてランクをつけて、前もって調べておいたエストロゲンのレベルとの関係を調べました。

 その結果、男女のボランティアとも、最も魅力を感じたとしたのは、エストロゲンのレベルの高い時の女性の顔写真で、エストロゲンの分泌量と顔の魅力とは強い相関関係が認められたそうです。

 研究者らは、この結果は生物の進化論に合致したもので、生殖期の年ごろの女性のエストロゲンのレベルは、身体の内側だけでなく、外から見える皮膚などの外見にも強く影響し、そのため男性は生殖の最適の時期の女性を選べるとしています。また、このエストロゲンのお陰で女性は大きな目と唇などの表情でセックスアピールするとしています。

 ところで、女性が化粧をした場合は外観から生殖に最も適した時期を選ぶことが出来なくなります。これは生物進化の観点から見ると異常な事態で、本来生物が存続するための生殖機能とは関係なく男性が女性に魅力を感じてしまい、ひいては人類の存続の危機をもたらすのではないかという意見もあるようです。

 いずれにせよ、男性が女性の顔をみて好き嫌いを判断する重要な決め手に女性ホルモンが関係しており、それは人類が繁栄するためという深い真理が隠されているように感じます。

ハセ博士=薬学博士。国立大学薬学部や米国の州立大学医学部などで研究・教官歴がある。現在、製薬企業で研究に従事している

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