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よく眠る女性――ハセ博士のヘルシー情報最前線(71)

 「悪いやつほどよく眠る」というのは日活全盛のころの映画のタイトルですが、最近の研究によると、女性の場合は教育歴の高い人のほうがよく眠る傾向があるそうです。

 これは、不眠症に関する研究で分かったもので、台湾地域医療疫学誌(Taiwan J Epidemiol Community Health, 2005; 59: 488-94)に報告されたものです。

睡眠 不眠症には世界中の人が悩んでいますが、特に女性が不眠症にかかる頻度は男性の約2倍あることが分かっています。その背景に社会的な影響が強いことは間違いないのですが、原因はよく分かっていません。

 そこで台湾の研究者らは、不眠症における男女差について、15歳以上の台湾人4万人を対象に調査しました。

 調査では、結婚や職業、学歴、収入、扶養家族の有無、夜よく眠れるかなど睡眠の状況を調べました。

 その結果、男女を通して不眠は年齢が高くなるにつれて多くなり、離婚などの離別歴のある人や教育歴があまり高くない人、不健康な人、低所得者に不眠になる傾向があったそうです。また、家庭内に小さな子供が同居している場合も不眠になる頻度が高いことが分かりました。

 今回の研究でも、女性は男性よりも不眠傾向が強く、世界保健機構(WHO)の指標(程度によって1~5までに区別されています)で、1.22以上もポイント差があったということです。

 特に、離婚歴のある女性に不眠が強く、女手一つでの子育て、収入がなくなる、結婚の失敗などがその大きな原因でした。失職の恐怖も不眠の大きな原因で、職場での性差別や子育てなども関係していました。

 女性の場合、高等教育を受けている人ほど睡眠の質がよく、これは男性と全く逆の結果で、男性の場合は高等教育を受けた人ほど不眠症になる傾向が強いそうです。

 台湾は日本と環境がよく似ていますので、かなり参考になる結果だと思います。

ハセ博士=薬学博士。国立大学薬学部や米国の州立大学医学部などで研究・教官歴がある。現在、製薬企業で研究に従事している

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