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 結婚情報サービス「オーネット」のオーエムエムジー(大阪市)は5日、『「結婚学」白書 ことぶき科学情報2000-2005』の刊行を記念して東京都内で発表会を開いた。

 まず、岩澤美帆・国立社会保障・人口問題研究所がさまざまなデータを基に、昔と大きく異なる点として「愛する人は生涯ひとりという人はいないようだ。また離婚への抵抗感がない」と指摘した。また、「1970年代と比べて、見合いや職場結婚が少しずつ減っている」と述べ、結婚しない人が増えている現状を語った。

 職場結婚が減っているという岩澤さんの報告を基に、佐藤博樹・東大教授は「職場で(パートナーに)出会えなくなった」のが原因として、次のように説明した。

「70年代と比べると、配属された職場を超えた、例えばサークルなどでの人の付き合いが減った。では職場の外に出るかというと、会社の外に出て行く時間が減っている。(社員に会社外での)人と人のネットワークや外とのつながりがない。これでいい仕事ができるだろうか。むしろ仕事にマイナスだ。社員が外部でネットワークをつくる機会を会社がつくるべきだ。社員がNPO活動をしたり勉強をしたりするために会社の外に出られるようなサポートを会社がするのだ。結果として社員はパートナーを見つけることができる」

『「結婚学」白書 ことぶき科学情報2000-2005』によると、20~30代独身男性女性の52.7パーセントが出会いのための努力をしていない。その理由で最も多いのが「いずれどこかで出会う」だった。

 「しかし」と佐藤教授は待ったをかけ、「今説明したように、待っていては出会えない。付き合いを広げようという自覚を」と強調した。

 さらに佐藤教授は「結婚をサポートしてくれる、つまり背中を押してくれるものがなくなった。昔は職場の上司や先輩が『そろそろ結婚したら』などと言っていたものだが、今ではこれがプライバシー侵害になったりセクハラになったりする」と笑わせ、結婚しない人が増えているこのほかの理由として、「結婚後女性が仕事を辞めるかどうかについての男女の価値観の違い」と「若い人は深く議論するのを避けるようになっている」を挙げた。

 岩上真珠・聖心女子大教授はイタリアの研究者と話し合った経験を踏まえ、「今がいいという現在主義」と「決定する選択を避けたがっている」ことが結婚しない人たちの背景にあると話した。「恋愛結婚が主流で、結婚相手は自分で選ばなければならない、となっている。自己決定社会なのだ。にもかかわらず、自己決定の訓練を受けていない」と問題の根の深さをえぐった。(AANウェブ編集部・西野浩史)

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