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ドクター皆川のダイエット道(8):肥満に効く漢方薬

 

こんにちは、皆川です。

 「肥満に効く漢方薬」などという見出しをつけると、いかにも怪しい中国からの輸入漢方薬を頭に思い浮かべた方もいらっしゃるかと思います。

 しかし、ここで取り上げるのはそんな怪しい漢方薬ではなく、日本国内できちんと承認され、しかも肥満症に対して健康保険の適応まである漢方薬です。

 保険が効く漢方のやせ薬があったって、ご存知でしたか? しかも2つも。

 今回は、そのうちのひとつ、「防風通聖散」(ボウフウツウショウサン)について説明してみたいと思います。

 この漢方薬は18種類の生薬から成りますが、京都府立医大の吉田俊秀教授によると、肥満マウスを用いた実験で、白色脂肪組織の脂肪分解作用と褐色脂肪組織の熱産生効果によりやせるということが確認されています。

 食事療法だけの場合と比べると、この漢方薬と食事療法との併用により、6ヵ月間で3キロ多く減量できたという報告があります。

 6ヵ月間でわずか3キロと思われるかもしれませんが、まともな漢方薬の減量効果というのはそのくらいマイルドなものと考えるべきなのでしょう。

 ただ、それでも1パーセントの頻度で肝障害の副作用が出ることがあります。

 1ヵ月で5キロも6キロもやせる薬の方がおかしい、危険なものと考えるべきかもしれません。

 欧米で使われている抗肥満薬のシブトラミンやオルリスタット(日本では未承認)のような薬剤でも6ヵ月の内服で4~6キロの減量効果しか期待できないと言われています。

 なお、漢方薬の場合、「証」(ショウ)といって、同じ薬でも効きやすい体質とそうでない体質があります。

 「防風通聖散」の場合、「実証」といって、同じ肥満でも体力の充実した方の肥満に効果があるようです。

 体力の低下した方の肥満には、もうひとつの漢方薬である「防已黄耆湯」(ボウイオウギトウ)の方が適しています。

参考文献:吉田俊秀「肥満治療に関するQ&A  綜合臨牀, 53(2)」355-360, 2004.


皆川俊一=東京の西の方にある診療所の院長。日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本整形外科学会認定リウマチ医


現在のドクター皆川(写真上)
ダイエット前のドクター皆川(写真下)

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