アンチエイジングニュース

健康に効く話(23):生活習慣病対策が椎間板を若くする?

 椎間板と聞いて思い浮かべるのが「椎間板ヘルニア」。椎間板は背骨を支え、衝撃を吸収するクッションの役割をしています。

 椎間板の中から髄核が飛び出せば「椎間板ヘルニア」が起こり、老化すれば脊柱管が狭くなる「脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)」が発症します。

 ここまでひどくならないまでも、椎間板を痛めることが腰痛の引き金になることはとても多いのです。つまり、腰まわりのアンチエイジングに「椎間板」はとても重要な役割を担っているというわけです。

 この椎間板を若く保つための方法として、生活習慣病対策が注目されています。

 文部科学省による「高齢者の生活機能の維持、増進と社会参加を促進する地域システムに関する研究」(筑波大臨床医学系整形外科・落合直之教授らによる)では生活機能を維持、増進することを目的とした「運動プログラム」の参加者を公募、これに参加した50歳以上の健常者267人を対象に、腰椎MRIを測定し、年齢やBMI(ボディー・マス・インデックス=体格指数)をはじめ、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)や血糖値、動脈硬化の進行具合などを計測して、椎間板の老化とのかかわりを調べました。

 統計学的な処理を行なった結果、加齢や太りすぎに加え、高血糖や動脈硬化、高コレステロールの人は椎間板の老化が進んでいるという結果が出たのです。

 生活習慣病を改善するためには運動療法、中でも有酸素運動(酸素を多く取り込むエアロビック運動で、酸素を使って糖質や脂肪を代謝させ、エネルギーを生み出す)が効果的です。落合教授によると、運動はハードに行なう必要はなく、ウオーキングや水泳など軽く汗ばむ程度の運動を1日30分以上、週3回以上行なうことで十分だそうです。運動で生活習慣病の予防、椎間板の老化予防ができるとはまさに一石二鳥でしょう。これに腰痛体操や大腿四頭筋を鍛える体操(前回参照)を加えれば、絶大効果が期待できます。

出典:「運動器の10年・骨と関節の日」記念事業(社団法人日本整形外科学会)、記者説明会「スポーツの習慣が運動機能を高め運動器の老化を防ぐ!」報道用資料

狩生聖子
狩生聖子=医療ジャーナリスト。著書に『ぐっすり眠る! 37の方法』(宝島社新書)などがある

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