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甲状腺ホルモン検査の勧め

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健康に効く話(9):甲状腺ホルモン検査の勧め

 バセドウ病という病気を耳にしたことはあっても、「自分には縁のない病気」と思っている方がほとんどだと思います。

 しかし、実はこの病気は1000人に2~6人とけっこう割合が高く、しかも女性に多い病気です。その割になかなか見つからない点がやっかいと言われます。

 例えば、私の友人(30代後半)の場合、発見されたきっかけは不妊治療でした。妊娠しても流産を繰り返してしまう「不育症」で大学病院に行ったところ、検査でこの病気が分かったのです。流産の原因の1つがバセドウ病だったそうです。

 バセドウ病は甲状腺ホルモンの病気です。甲状腺はのど仏の下、気管の周りを蝶が羽を広げた形でぐるりとくっついている臓器です。この甲状腺から甲状腺ホルモンが合成、分泌されます。

 甲状腺ホルモンは発育や成長に欠かせないホルモンで、脳や心臓、消化管、骨、筋肉まで全身の新陳代謝を活発にする働きがあり、まさに生きていく上で欠かせないものなのです。

 健康な人にはちょうどいい量の甲状腺ホルモンが血液中に保たれているため、快適な生活が送れますが、ホルモンが過剰になったり逆に少なくなったりすると、全身にさまざまなつらい症状があらわれます。

 このうちバセドウ病はホルモン量が増える病気の代表です。ホルモンが過剰になるので体の新陳代謝が活発化し、脈拍が速い、汗が多い、疲れやすい、微熱が続くなどの症状が出てきますが、はっきりした原因は不明です。

 しかも、こうした症状は多かれ少なかれ誰にでも思い当たるものですよね。それだけに医師もなかなか正確な診断がつけられないと言われます。更年期障害や自律神経失調症、心臓病などさまざまな病気を疑われ、それでもよくならず、病院を転々とする人も多いのだとか。

 また、症状を自覚しない人も多く、友人のように不妊治療で判明するケースもよくあります。

 甲状腺の病気というと甲状腺が腫れてくるようなイメージがありますが、すべての人に起こるわけではありません。バセドウ病の症状というと目が出てくる「眼球突出」を思い浮かべますが、実際には患者さんの3割程度だそうです。だからこそ、病気の早期発見には「甲状腺機能検査」が必要になってきます。検査は少量の血液で可能であり、クリニックで受けることができます。

バセドウ病が発見された場合、抗甲状腺薬で過剰な甲状腺ホルモンを低下させたり、甲状腺細胞を減らすアイソトープという物質が入ったカプセルを内服したり、手術で甲状腺の一部を切除したりといった方法があります。

ちなみに多くの方は薬物で効果が期待でき、服用することでつらい症状が劇的に改善し、みちがえるほど元気になると言われます。仕事や運動、食事、妊娠など健康な人と同じように何でもできます。

 以前取材した甲状腺の専門ドクターは「患者さんの多くは、病名が判明するまでがつらかった、とおっしゃいます。それだけ、治療の効果が出て、体が楽になったときの喜びは大きいのです」と言っていました。

 つらい症状があったら「甲状腺ホルモン検査」を受けてみる。これは女性にとって、ぜひ頭に入れておきたいことですね。

参考文献・甲状腺の病気に関する基礎知識(金地病院編)など

 

狩生聖子=医療ジャーナリスト。著書に『ぐっすり眠る! 37の方法』(宝島社新書)などがある

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