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薬剤師に聞く薬の知識(4):薬とアルコールの飲み合わせ

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アルコール アルコールで「薬」を飲む方はまずいないと思う。しかし、念には念を入れたほうがいい。そこで薬剤師の小川重行さんに「薬」とアルコールの飲み合わせについて聞いた。

 身体には異物である薬を分解して外に出そうとする働き(代謝)があるが、アルコールによって薬の代謝が阻害され、薬が効きすぎてしまったり、消化管からの吸収や排泄などに影響を与えたりするそうだ。

 アルコールは主として解熱鎮痛薬、精神安定薬(ロラゼパンなど)、降圧薬などと相性が悪い。一緒に服用すると薬の作用が増強され、意識がなくなったり、血圧が下がりすぎたりすることがあるそうなので、一緒の摂取は控えるべきだ。アルコールと一緒の摂取がとくに問題になる薬を以下に挙げよう。

解熱鎮痛薬
 アスピリンと一緒に飲むと、相乗効果によって「胃が荒れて」しまいます。また、アセトアミノフェンを含んだ解熱鎮痛薬だと、肝臓に毒性のある活性代謝物ができ、「肝機能障害」を起こすことがあります。

催眠導入薬
 睡眠導入薬のハルシオンやレンドルミン、ロヒプノールと一緒に飲むと、脳の中で薬の濃度が上がって効きすぎてしまうため、「呼吸停止」する可能性があります。

糖尿病薬
 糖尿病薬と一緒に飲むと、アルコールの酔いが非常に強くなり、「悪酔い」することがあります。また、薬が効きすぎてしまい「低血糖状態」になることもあります。

H2ブロッカー系の胃腸薬

 H2ブロッカー系の胃腸薬と一緒に飲むと、H2ブロッカーが胃壁内にあるアルコールを分解する酵素の働きを阻害し、「血液中のアルコールの濃度を上げて」しまいます。濃度が上がることによって酔いが強くなり、悪酔いすることがあります。

血液が固まるのを防ぐ薬
 ワーファリンなどの経口抗凝固剤と一緒に飲むと、薬が効きすぎて、「血が止まらなくなる」「脳出血を起こす」「胃や腸からの出血が起こす」「吐血や下血を起こす」など生命に危険を及ぼすことがあります。

排尿に関係する薬
 抗圧利尿薬と一緒に飲むと、「血圧が急激に下がり、めまいなどを起こす」ことがあります。

抗うつ薬
 抗うつ薬のトリプタノールと一緒に飲むと、肝臓での代謝が遅くなるため薬の吸収量が増え、「血液中の濃度が上がり、効きすぎてしまう」ことがあります。その結果、「精神の錯乱」「幻覚」「手の震え」「食欲不振」などが起こることがあります。

抗生物質
 抗生物質と一緒に飲むと、アルコールの作用によって代謝が変調し、「ひどい二日酔い」のような状態になります。抗生物質はアルコールの代謝を途中で止めて体内にアセトアルデヒドという物質を増やし、ひどい二日酔い状態を作る作用があります。

 「悪酔いする」「ひどい二日酔いになる」といったものから、生命に危険を及ぼすほど危険な飲み合わせもある。薬を飲んでいるときはアルコールは控えた方が賢明だ。(AANウェブ編集部・松本理恵)

小川さん お答えくださった方:グリーンクロス・コアの介護支援専門員・薬剤師、小川重行さん。調剤薬局を併設したドラッグストア「Welcia」の後進薬剤師の指導にあたるほか、病院や薬局に置いてある『月刊ことぶき』(寿出版)で「ことぶき流健康生活」を連載中。

取材協力:ビックヤマト

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