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ハセ博士のヘルシー情報最前線(9)更年期の骨密度低下に効果がある?!

 イソフラボンは大豆などのマメ科植物に多く含まれるもので、女性ホルモンであるエストロゲンに科学的に類似している化合物です。

 このため、イソフラボンを含む大豆タンパク、あるいは大豆サプリメントがホルモン補充療法に使えるのではないかと注目を集めています。

 日本を含むアジア諸国の女性は大豆製品を多く食べていますので、西洋の女性に比べると骨盤などの骨折だけでなく乳癌や心疾患の割合が低いと言われています。

 しかし、科学的に証明した研究はあまりなく、動物を用いた実験でイソフラボンの効果を調べた研究がある程度です。特に中高齢の女性を対象にした研究は少なく、長期間イソフラボンを摂取した効果についてはほとんど分かっていませんでした。

 今回、植物エストロゲンのイソフラボンサプリメントが、女性の更年期以後に起こる骨密度低下の予防に役立つ可能性があるという報告が、英国研究者からなされたというニュースです。

 この報告は、アメリカン・ジャーナル・クリニカル・ニュートリション誌(American Journal of Clinical Nutrition)に報告されました。

 それによりますと、49~65歳の閉経後の女性177人を対象にして、イソフラボンサプリメントを1年以上にわたって摂取した効果を調べました。

 なお、このような長期間調べた研究はこれが初めてで、また使用するサプリメントの品質も重要なポイントなのですが、Novogen 社製のイソフラボンサプリメントPromensilを使用したそうです。

 その結果、イソフラボンサプリメントを毎日摂取した女性は、プラセボ偽薬を摂った人に比べて、脊髄骨密度の低下が抑えられていることが証明されました。

 しかしその一方で、骨盤の骨密度には差は見られなかったとのことです。

 今回の研究結果は、かなりポジティブなものなのですが、それでも、イソフラボン・サプリメントに医学的な効果があるとするには時期尚早、とのコメントが専門家から出されています。

 実際にイソフラボンサプリメントを摂取した人が、骨折する割合が低下したかどうか、あるいは食物として大豆製品を食べるより、本当にサプリメント錠剤が有効なのか、などの検証が必要というわけです。

 また、この専門家は、骨密度の低下を抑え骨粗鬆症を防ぐためには、十分なカルシウムとビタミンDと禁煙が重要、とアドバイスしています。(ハセ博士=薬学博士。国立大学薬学部や米国の州立大学医学部などで研究・教官歴がある。現在、製薬企業で研究に従事している)

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