アンチエイジングニュース

 

生物として本来持つ感覚“五感”も、年齢と共に衰えていきます。老化予防の方法として、見た目のケアやインナーケアなど様々な方法がありますが、本企画では “五感”に焦点を当てたアンチエイジングを実践するコツをお教えします!

ガイドしてくれるのは、アンチエイジングや美について議論を深めながら追求していく双方向型セミナー「塩谷塾」の卒業生たち。それぞれの専門分野における、“五感”に特化したアンチエイジングの秘訣とは?

 

皆様、「フィトセラピー」を、ご存知ですか?

ギリシャ語を語源とする 「phyto(フィト)=植物」とセラピー(療法、治療)の複合語で、「植物療法」と訳されます。

私はフィトセラピスト(植物療法士)の池田明子と申します。

塩谷塾の第二期生として学ばせていただいたご縁で、このたび「五感」に特化したアンチエイジングの秘訣を、フィトセラピーの分野からお話させていただきます。

フィトセラピー(植物療法)の目的は、「植物の恵みをさまざまな形で日常生活に活用し、心身の自然治癒力を高め、元気で美しく、心豊かな毎日をおくること」です。

そのフィトセラピー(植物療法)を普及する目的で、2006年、東京・自由が丘に「ソフィアフィトセラピーカレッジ」を開校し、一般社団法人日本フィトセラピー協会を設立、主として、フィトセラピー(植物療法)の専門家であるフィトセラピスト(植物療法士)の養成をはじめました。2012年からは、ハンドケアセラピストの養成も行っています。

 

現在までに、(一社)日本フィトセラピー協会の認定フィトセラピストはフィトセラピーアドバイザーも含めると約1,300名、認定ハンドケアセラピストは約8.000名です。日本では、アロマセラピーが有名ですが、アロマセラピーもフィトセラピーの一部なので、フィトセラピストは、ハーブ療法とアロマセラピーをバランスよく活用する方法を学ぶことになります。

 

もともと「植物を使う療法」として、広い意味を持っていたフィトセラピーですが、100年ほど前、フランスやドイツの医師たちが、薬草を使う医療にフィトセラピーという言葉を用いました。以来、欧米においては、狭い意味のフィトセラピーとして、ハーブ療法やアロマセラピーを指すことが多いですが、日本においてフィトセラピーを普及するにあたり、以下の6つのカテゴリーを設け、それぞれの学びを深めていただけるようにしています。

 

 【フィトセラピー6のカテゴリー】


・ハーブ(薬草療法)…有用植物、薬草を使った療法

・アロマセラピー(芳香療法)…植物の香りを活用する療法

・園芸療法…植物からの癒やしや育てる行為による療法

・バッチ博士の花療法…フラワーレメディーで感情のバランスを取り戻す療法

・森林療法&植樹…森林浴や植樹など森林環境を活用する療法

・フィトケミカル栄養学に基づく食療法…植物の抗酸化作用等の機能性に着目した栄養療法

 

フィトセラピーでは「自然治癒力」を大変重要に考えます。「自然治癒力」とは、私たち誰もが生まれながらに持っている、心身を健全に保つための能力のことで、その自然治癒力を高めるための療法がフィトセラピーなのです。

私が、フィトセラピーを勉強するようになったきっかけは、臨床検査技師として、大学病院に勤務していた経験からです。日々病気の方々と接しているうちに、どうしたら病気にならなくて済むのだろうか? と思うようになりました。そのような中、あるきっかけから伝統医学のアーユルヴェーダ(インド医学)を勉強するようになり、その他にもさまざまな書物から自然治癒力のすばらしさを知りました。その中には、現在アンチエイジング医学界を牽引されている「塩谷塾」の塩谷信幸先生のご尊父、塩谷信男先生の「自在力」もありました。

さて、フィトセラピーを実践し、自然治癒力を高めることとアンチエイジングは、非常に密接な関係にあります。その理由は、植物が光合成によって作り出すグルコース以外の物質、フィトケミカル成分(植物化学成分)にあります。

フィトケミカル成分の特徴的な働きとして注目されている作用の一つに「抗酸化作用」があります。「抗酸化作用」とは、活性酸素が体内の細胞を酸化させるのを防ぐ働きですが、体内で起きる細胞の酸化=老化ですので、フィトケミカル成分の働きそのものが「抗酸化=抗老化」であり、アンチエイジングと深く関わっているのです。

そして、私たちフィトセラピスト(植物療法士)がハーブや精油を活用する大きな理由は、フィトケミカル成分の抗酸化作用に代表される様々な作用によって、より元気で美しく生きるために、日々自然治癒力の働きを高めていくことなのです。

 

自然治癒力はホメオスタシスの表れ

フィトセラピーでは、「体内は調和のとれた環境の場である」と考えます(=体内環境)。体内環境は、交感神経と副交感神経からなりたつ自律神経系、ホルモンを司る内分泌系、そして主として外敵から身を守るための免疫系、この3者のネットワークが、休むことなく無意識に働いて調和を保っており、そのことをホメオスタシス(恒常性維持)と言います。

私たちは、過度なストレスとなるような周囲の環境、また様々な出来事によって、ホメオスタシスが乱れると体内環境も乱れ、体調不良になり、やがて病気につながるのです。しかし体調不良や病気になった時でも、同じくホメオスタシスが働いて、体内環境の乱れを改善しようとします。そのようにホメオスタシスが発現して、調和のとれた体内環境をとり戻そうとする能力が、自然治癒力なのです。フィトセラピーは太古から経験的に植物を活用し、人の自然治癒力をサポートするために行われてきたセラピーと言えます。

 

五感とフィトセラピー

フィトセラピーの実践では、五感を生かした心地さが大切です。たとえば、精油を嗅ぐのは嗅覚、アロマトリートメントオイルでマッサージをすると嗅覚と触覚、ハーブティーは味覚と嗅覚、美しい植物をながめる時は視覚などなど。

植物を活用する場合、五感をフルに使って癒しを行っています。そして、五感を通して受け取る「心地良さ」こそが、自然治癒力の働きを高める大きな役割をしているのです。こうしたことから、植物の恵みを用いるフィトセラピーは、「五感セラピー」であると言ってもよいのではないでしょうか。近年では精神医学の分野でも、心地良さを受け取ることと、自然治癒力の発現が深くつながっていると言われていますが、フィトセラピーは太古から行われていた、感覚を活用したセラピーでもあるのです。近年、植物の薬理作用の研究が進み、植物化学成分の機能のみを重視する使い方もありますが、フィトセラピーでは、成分だけではなく、心への影響も含めての効果を重視する点で、五感への影響は特に大切だと考えます。

 

次回は、このシリーズの五感に特化したアンチエイジングの秘訣ということで、具体的にオススメのハーブ、精油の活用法といった実践的な内容をお伝えします。

 

》アンチエイジング五感道場

》第6期アンチエイジング塩谷塾塾生応募受付中!

 

池田明子

池田 明子(AKIKO IKEDA)

植物療法士/フィトセラピスト
ソフィアフィトセラピーカレッジ校長
西九州大学客員教授
一般社団法人日本フィトセラピー協会代表理事
一般社団法人日本ハンドケア協会代表理事
植生工学士

 

【経歴】

臨床検査技師として病院勤務の経験から、伝統医学に興味を持ち、その後ハーブやアロマなどフィトセラピー(植物療法)を学ぶ。 2006年東京・自由が丘にて「植物療法士/フィトセラピスト」と「ハンドケアセラピスト」の養成校を設立。 全国各地でフィトセラピーやハンドケアの講座を主催。近年は大学や専門学校などとコラボして、認知症予防や介護分野での有効活用の普及をしている。 著書に「ズボラ大人女子の週末セルフケア大全」(大和書房)「熟年離婚したくなければズボラ婚」(双葉社)「アロマセラピー使いこなし辞典」(世界文化社)など多数。 夫は俳優の梅沢富美男、2女の母。

》ソフィアフィトセラピーカレッジ
》オフィシャルブログ『ハーブ&アロマ 植物の癒やし』

  • facebook Share
  • Tweet
  • LINE

この記事が気に入ったら「いいね!」しよう
最新記事をお届けします

カテゴリ一覧